米Googleは7月12日(現地時間)、プログラミングのスキルや知識がなくても、部品ブロックを組み合わせるだけで簡単にAndroidアプリを作成できる「App Inventor」のベータプログラムを一般に拡大した。Google LabsのApp Inventorのページで利用希望者の登録(Gmailアドレスが必要)を受け付けており、登録者には数週間中に招待状を送るとしている。
App Inventorを用いたAndroidアプリ作成ではコードを記述する必要はない。ビューワ画面にユーザーインターフェイスや機能のブロックをドラッグ&ドロップしてデザインし、Blocks Editorでブロックにふるまいを割り当ててモバイルアプリを構築する。
例えば、下のApp Inventorの紹介動画に登場する「Hello Purr」という猫の写真をタップしたら猫の鳴き声が再生されるアプリの作成は3ステップで完了する。プロパティで背景色などを設定した後に、ビューワー画面にボタンのブロックを置いてボタンに猫の写真を配置。メディア・コンポーネントのサウンド・ブロックを置いて猫の鳴き声のオーディオファイルとリンクさせる。次にBlocks Editorを開いて「when Button1.Click」を置き、その中に「call Sound1.Play」のブロックを組み込んだら完成だ。
App Inventorには、ベーシック、メディア、アニメーション、ソーシャル、センサー、スクリーンアレンジメントなどに分類された豊富なコンポーネントが用意されている。Android携帯のGPSや加速度センサーを利用したり、AmazonやTwitterのデータとの連係も可能。New York Timesによると、これまでGoogleはコンピュータ科学専攻ではない大学生、看護学生、女子高生、小学生などを対象にApp Inventorのテストを行ってきた。サンフランシスコ大学の学生は車の運転中に送られてきたテキストメッセージに自動返信するアプリを作成、看護学生は加速度センサーを用いて患者が倒れたときに、患者の携帯電話から救急メッセージが送信されるようにした。Android Marketから入手したアプリを使用するだけではなく、すべてのAndroid携帯ユーザーが必要なアプリを自ら作成できるようにするのがApp Inventor提供の大きな狙いの1つだという。
App Inventorはブロックの組み合わせによるプログラミングにOpen Blocks Javaライブラリ、またコンパイラにKawa Language Frameworkを用いている。アプリ作成はWebインターフェイスで行うが、App Inventorのサイトとパソコン、パソコンにUSB接続したAndroid携帯の間のデータ同期に専用プログラムが必要になる。対応環境はWindows 7/Vista/XP、Mac OS X 10.6/10.5、Ubuntu 8+、Debian 5+となっている。