書籍・雑誌等の紙媒体の電子化が注目されるなかで、近未来の印刷会社はどのような役割を担っていくのか。書籍や雑誌などのコンテンツの電子配信技術を紹介する「デジタルパブリッシングフェア2010」(開催期間:7月7日~10日)では、凸版印刷がその一つの方向性を示していた。
凸版印刷では、電子出版時代における戦略、「出版イノベーション2010」を出展ブースで紹介。これを簡単にまとめると、iPadなどのデバイスの特性を活かしながら、電子媒体・紙媒体、オンデマンドなど多様なコンテンツの配信を可能にするというもの。さらには、デジタルの特性を活かして、出版社がアフィリエイト収入などの新たな収益源を得たり、マーケティング活動をしていく上でのサポート役を果たしていくというのが戦略の骨子になっている。
具体的に凸版印刷では、一度校了したコンテンツを紙、デジタル両媒体で使えるようにするほか、記事や広告に音声・動画をつけ、コンテンツの表現を豊かなものにし、紙面上にリンク先を設けて通販サイトに誘導するなどして、出版社が新たな収益構造をつくりだせるように支援する。
ほかにも、GPS搭載デバイスなどであれば、コンテンツを閲覧した場所やその人数を把握したり、Twitterなどのソーシャルメディアを活用したりすることで、読者分析や販売分析に基づいたマーケティング提案も行なう。同社では従来の印刷会社の機能を超えたサービスを提供し、サポート体制を整えて、電子出版時代における存在感を強めていきたい考えだ。
こうした方針のもとで、同社の出展ブースには、電子出版戦略を紹介するパネルを展示していたほか、iPadでオリジナル雑誌のデモアプリも紹介。下の写真のように、指で360度自在に動かせるパノラマ写真など、新たな表現スタイルをデモンストレーションし、電子出版時代における多様な表現の魅力も伝えていた。