ひまわり証券は、6月30日から、投資信託『ひまわり&WVI・システムトレード・オープン』の販売を開始した。ひまわり証券といえば、日経先物やFXのシステムトレードで知られている証券会社。それが「投資信託」の販売を始めるというのは、少し意外な気がする人も多いだろう。この「システムトレード・オープン」とはどんな投資信託なのだろうか。

現役世代にもおすすめの投資信託『システムトレード・オープン』

この記事をお読みになる読者は、「流動性の高い先物・FX」「デイトレード」「小額から始められる」というようなポイントに興味があるだろう。本格的な資産運用というよりも、楽しみながらできる「サイド運用」のような形を目指している人も多いはずだ。そういう方にとって、従来の投資信託はあまり魅力的に映らないかもしれない。

投資信託(ファンド)には、さまざまなものがあるが、日本では、退職した人が退職金を運用するものというイメージが比較的強い。プロのファンドマネージャーが運用してくれるので、素人にも投資しやすいという利点はあるが、読者にとっては欠点も多く目につくのではないだろうか。

『ひまわり&WVI・システムトレード・オープン』をひまわり証券と共同企画した、West Village Investment(WVI) 代表取締役の西村貴郁氏

「手数料などが高額」「ある程度の額からでないと参加できない」「長期投資になってしまう」「現金化に時間がかかる」「預けっぱなしなので、利益が出ても損失が出ても、なんとなく納得がいかない」等々。「金融商品のことはよく分からないが、銀行の定期預金よりも利回りがいいから」などの理由で始めるのには適しているかもしれないが、この記事をお読みになっている読者のニーズには、必ずしも合っていないかもしれない。

ひまわり証券がWest Village Investment(WVI)と共同企画し、6月30日に販売を開始した「システムトレード・オープン」は、このような従来の投資信託の問題点を洗い出し、現役世代にとっても利用しやすい特長を打ち出した金融商品だ。大変大ざっぱな言い方をすれば、従来の投資信託は退職者が退職金を運用するものだったが、「システムトレード・オープン」は現役世代が利用する投資信託だと言えるだろう。

デイトレードなので「高度なリスク管理が可能」

「システムトレード・オープン」が従来の投資信託ともっとも違う点は、運用がデイトレードのみで行われるという点だ。毎日ある時間帯には必ずポジションがゼロ(取引が行われていない状態)となるため、相場の値動きによるリスクが限定される上、換金性も高い。デイトレードというと、リスキーなイメージを持つ人もいるだろうが、むしろデイトレードだから、高度なリスク管理が可能なのである。

次に異なるのが、運用対象が先物(日経225先物、TOPIX先物)、為替(ドル円、ユーロドル)であるという点だ。従来の投資信託は、株式が中心で、その他不動産など「保有する資産」が多い。ある意味、着実に利益を生み出してくれるともいえるが、今のような資産が目減りしてしまうような時代では、投信信託の評価損が大きくなってしまい、解約するわけにもいかず、塩漬けにしておくしかないという状況になってしまうことも多い。

しかし、「システムトレード・オープン」の運用対象は、流動性の高い先物と為替に限定されている。ご存知のように、株価指数先物と為替は、"現物を保有"するのではなく、"ポジションを持つ"金融商品。値上がりするときは買いから入り、値下がりするときは売りから入ることで、利益を生み出すことができる。「値下がりしたから塩漬けにするしかない」という事態は起こらない。

システムトレードだから「投資方針」に一貫性

そして、もっとも大きな特長が、システムトレードであるという点だ。従来の投資信託は、ファンドマネージャーという"人"が運用を担当する。もちろん、優秀なファンドマネージャーは小さくない利益を投資家にもたらしてくれるが、やはり"人"であるがゆえの欠点もある。運用成績が落ち込んだ場合、焦りが生まれて無理な投資をすることもあるだろうし、また優秀なマネージャーが他社に引き抜かれれば、どうしても投資方針は微妙に変化せざるをえない。

結果として利益が出たとしても、途中で運用方針が変わった場合は、どこか納得がいかないものが残るだろう。「システムトレード・オープン」は、先物6システム、為替5システムの完全システムトレードだから、投資方針が途中で変わるということはありえない(もちろん、運用成績をより高めるためのチューニングは随時行われる)。

一言で言えば、「システムトレード・オープン」は、"納得できる"投資信託といえる。小額から参加でき、毎日換金が可能。投資方針ははっきりとしている。それでいて、実際に投資家が行うのは、参加するかどうかを決めるだけで、細かい投資判断をする必要はない。お任せでいいのだ。

こうしてみると、投資信託といっても、従来の投資信託とは内容が大きく異なり、さらには、利用の方法もずいぶんと違ったものになることがわかるだろう。資産運用というよりは、すでに先物やFXをやっている人が、安定した運用という観点から自分のポートフォリオに組み込む、あるいはこれから先物やFXをやってみたいけどハードルの高さを感じている人が入門として投資してみるといった使い方に適している。

「今までになかった金融商品」として誕生

もちろん、従来の投資信託とまったく同じ感覚で、資産運用をすることもできる。

「そこはまさしくお客様にお決めいただくこと。正直、従来なかった性格の商品なので、私どもからこうお使いくださいというのもなかなか難しい。積極投資にも、長期安定投資にも使えますから。そこは今後お客様の声を聞きながら、今までになかった金融商品として育てていきたいと考えております」(ひまわり証券 経営企画グループ ファンド事業開発チーム 小川祥史氏)。

「今までになかった金融商品として育てていきたい」と語る、ひまわり証券 経営企画グループ ファンド事業開発チーム 小川祥史氏

投資信託は投資信託なのだが、従来の投資信託とはまるで違う。使う人のニーズに合わせて、どのようにでも使える投資信託なのだ。

「弊社としては、まずは先物やFXのトレードになじまれている現役世代の方にお薦めしたい。そこを核にして、トレードにあまりなじみのない層にまで広げていきたいと考えています」(小川)。

もちろん、みなさんの興味は、この「システムトレード・オープン」のシステムがどのような性格をもったものであるかだろう。次回では、「システムトレード・オープン」のシステムがどのような性格をもったものであるか、そこに焦点をあててご紹介したい。

West Village Investmentの西村貴郁代表取締役と岩本祐介取締役 システム・アナリストへのインタビュー記事はこちら!!