7月6日に行われたドワンゴによる事業戦略発表会で、これまでベールに包まれていた『ニコニコミュージカル』の詳細が発表された。発表の模様はニコニコ生放送で中継され、会場にはニコニコ動画ユーザーの中から選抜された"ニコ記者"も多数訪れた。
今回明らかになったのは、『クリスマスキャロル(仮)』(日程:2010年12月22~26日)、『ミュージカルニコニコ動画(仮)』(2011年1月7~12日)、『ニコニコニーコ(仮)』(2011年3月17~27日)という全3作品のキャストとスタッフ、そしてそれぞれの作品のコンセプトである。
本レポートでは、発表会の模様と共に各ミュージカルの詳細について紹介していくことにする。
クリスマスキャロル(仮)
ニコニコミュージカル第1弾となる『クリスマスキャロル(仮)』の主演を張るのは、元ライブドア社長の堀江貴文氏だ。
今回のミュージカルをプロデュースする片岡義朗氏によると、ディケンズの名作『クリスマスキャロル』をそのまま上演するのではなく、テーマは維持したまま舞台を現代に置き換えたオリジナルの設定になるという。
片岡氏はまた、「ニコニコミュージカルには今の社会の問題を反映させたいと考えていた」。「現在、格差問題が大きく取り上げられている。堀江さんは実像とは違う部分で拝金主義の象徴のように思われているが、そんな彼がクリスマスキャロルの(主人公)スクルージのような役をやることに意味があると思っている」と題材を選んだ理由について語った。
演出・脚本を担当する湯澤幸一郎氏は、「最初、堀江さんが主演と聞いて『大丈夫なのかな』と思った」としながらも、「ワークショップに来てもらったとき真面目に取り組んでいる堀江さんの姿を見て、熱意を感じた。あとはスタッフでサポートしつつクリスマスキャロルのメッセージを伝えたい」と堀江氏の演技に期待をよせた。
ここで会場にはひろゆき(西村博之)氏が合流し、「堀江さんが言わないようなことを言わせたりやらないようなことをやらせたら面白いんじゃないかと思った。王道の古典を堀江さんがやることでどこまで崩せるか」とコメント。
「どうですか?」とひろゆき氏に振られた堀江氏は、「もういっぱいいっぱいで。湯澤先生がいると怖いんですよね」と苦笑しつつ、「ワークショップに参加して、役者さんの凄さがわかった。悔いがないように、誰に見せても恥ずかしくないようなものをやっていきたい」と決意表明を行った。
『RUN&GUN』メンバーの宮下雄也氏が演じるのは堀江氏の青年時代。「堀江さんと少し顔が似ている」と片岡氏に言われたのだとか |
若手俳優の小池亮介氏が演じるのは堀江氏の少年時代。「僕は細いのでもうちょっと食べたほうがいいかなと思いました」というコメントには、後ろで聞いていた堀江氏も思わず「僕も昔は君くらいだったよ」と反論 |
俳優・声優として活躍する藤原祐規氏。まだ役柄は決まっていないのだそう |
ミュージカルニコニコ動画(仮)
ニコニコミュージカル第2弾は、ニコニコ動画ユーザーから選抜されたキャストによる『ミュージカルニコニコ動画(仮)』だ。片岡氏によると、今回登壇した4人全員、ニコニコ動画に作品を投稿しているユーザーからの選抜メンバーであり、今後さらに増える可能性もあるという。
全体のコンセプトは「歌を歌うことと、音楽とは」。大学の音楽サークルを舞台にした物語を想定しているとのこと。ただしあまりテーマ性を強調せず、ニコニコ動画を茶化すようなものにしていきたいと述べた。
演出・脚本を行う石沢克宜氏は、ニコニコ動画で100万回以上再生されている人気ボーカロイド曲「ココロ」の舞台化を手がけるなど、ニコニコ動画に精通していることから片岡氏の目に止まった。「まだ内容は未定」(石沢氏)だが、「かなりニコニコ色は強くなると思う。ユーザーからのコメントで完成するような舞台を目指したい」と意気込みを語った。
「歌ってみた」で活動する「ぽこた」。Gacktの声に似ていることから「がくっぽいどっぽいど」などのタグが付くことが多い(ニコニコ大百科) |
「歌ってみた」で活動する「蛇足」。低音ボイスに定評あり。日米のハーフらしい(ニコニコ大百科) |
「歌ってみた」で活動する「やまだん」。数多くのニコニコ動画関連イベントに参加し、熱い歌声で会場を盛り上げた(ニコニコ大百科) |
「歌ってみた」で活動する「野宮あゆみ」。ニコニコ動画投稿以前からライブなどで人気を博す同人歌手(ニコニコ大百科) |
ニコニコニーコ(仮)
ニコニコミュージカル第3弾は、片岡氏が手がけたアニメ『家庭教師ヒットマン REBORN!』に登場する女性声優でメンバーを固めた『ニコニコニーコ(仮)』だ。
主演を務めるのはリボーン役の声優としても活躍中のニーコ。片岡氏は「彼女をリボーンのオーディションで見たときに宇宙人だと思った」と彼女のキャラクター性を評価し、「この舞台には男性はいらない。宇宙人をテーマにした、女性しか出てこない物語にしたいと思っている」と述べた。
また『クリスマスキャロル(仮)』と同じく演出・脚本を手がけることになる湯澤氏は、「ニーコ星から来たニーコが地球で大暴れする、というプロットを見て、『何を言ってるんだろう』と思った(笑)。メンバー全員が気心が知れているので、それぞれの個性を発揮できるような舞台にできたら」とコメント。奇想天外なプロットがどうミュージカル化されるのか、注目したい。
以上、ニコニコミュージカル3作品の詳細が発表された後、片岡氏からは「ニコニコミュージカル公開オーディションの開催決定」が告げられた。詳細はオフィシャルサイトで順次公開予定とのこと。
いよいよ本格始動したニコニコミュージカル。内容はもちろん、ニコニコ生放送による舞台中継という新たな試みにも着目していきたい。
ニコニコミュージカル上演スケジュール
作品 | 上演期間 | 劇場 | チケット価格 | 販売開始 |
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ネットチケット価格(※) | ||||
クリスマスキャロル(仮) | 2010年12月22日(水)~26日(日) | 博品館劇場(東京・銀座) | 4,500円 | 2010年10月頃 |
1,000pt | ||||
ミュージカルニコニコ動画(仮) | 2011年1月7日(金)~12日(水) ※10日(月)は休演 | 全労済ホール/スペース・ゼロ(東京・新宿) | 3,500円 | 2010年10月頃 |
1,000pt | ||||
ニコニコニーコ(仮) | 2011年3月17日(木)~27日(日) | シアターグリーン(東京・池袋) | 2,500円 | 2010年12月頃 |
800pt |
※ニコニコポイント(pt)で購入。1pt=1円。