日本銀行は8日、2010年7月の地域経済報告(さくらレポート)について発表した。これによると、景気情勢についての地域別の総括判断は、前回と比較すると、東海を除く8地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、近畿、中国、四国、九州・沖縄)で、改善の動きがよりしっかりしてきたと判断された。

今回の地域経済報告は、8日開催の日本銀行支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店など地域経済担当部署からの報告を集約したもの。

今回の地域別総括判断を前回(2010年4月時点)と比較すると、8地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、近畿、中国、四国、九州・沖縄)では、改善の動きがよりしっかりしてきたと判断。4地域(関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄)が「緩やかに回復している」と判断した。東海は、「生産の増勢が一時的に鈍化したが、その後は再び増勢が戻りつつあり、全体として持ち直しを続けている」とし、判断を横ばいとした。

項目別にみると、「設備投資」については、4地域(北海道、東海、近畿、九州・沖縄)が「持ち直し」または「持ち直しつつある」「低水準ながら増加」と判断したほか、他の4地域(北陸、関東甲信越、中国、四国)も「下げ止まっている」と判断した。この間、東北は「減少」と判断したが、減少幅の縮小に言及している。

内訳をみると、製造業では、引き続き維持・更新投資の再開や、能力増強投資に踏み切る動きがみられるほか、新商品・研究開発投資の計画を上積みする動きがみられると報告された。また、非製造業では、引き続きインフラ関連産業の大型投資がみられるほか、複数の地域が、小売業における新規出店の動きを報告した。

「個人消費」については、政策効果の持続に加え、雇用・所得環境の厳しさが幾分緩和していることもあって、5地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、中国)が、全体として、「持ち直し」「持ち直しの動き」または「下げ止まりつつある」と判断した。この間、4地域(東北、近畿、四国、九州・沖縄)は、全体としての地合いは弱い、との判断を続けている。

「雇用・所得環境」については、引き続き厳しい状況にあるが、多くの地域が、厳しさの緩和の動きがみられていると報告した。

「生産」については、全地域が、「増加」または「持ち直し」との基調判断を示した。この間、4地域(東北、北陸、中国、四国)が、海外経済の改善などを背景に増勢が強まっていると報告した。一方、自動車関連業種の動きを主因に、北海道、東海が一時的な増勢鈍化を報告した。