6月24日に携帯電話経由でのデータ通信定額制を廃止し、従量制への移行を実施した米AT&Tだが、こんどは同社ネットワークのアップロード速度が100kbps未満と大幅に低下したことが報告されている。7月2日前後を境に全米のほとんどのエリアのユーザーの端末で同様の報告がなされているため、AT&Tが通信速度制限をかけたのではないかという憶測が流れている。

これに関する調査データを米Wired.comがサイトに掲載しておりMacRumorsのユーザーフォーラムGizmodoのコメント欄にも多数の報告が確認できる。

Wiredの調査データを基にすれば、例えばそれまで1Mbps弱程度の速度が安定して出ていたアップロード通信が、7月2日ないし3日を境に急速にパフォーマンスを落とし、100kbps未満の速度にまで落ち込んでしまっている。一方でダウンロード側の影響はほとんどない。Wired.com自身がニューヨークで「Speedtest.net Speed Test」というiPhoneアプリを使って計測したスクリーンショットを掲載しているが、ここではダウンロードが486kbps、アップロードがわずか27kbpsとなっている。タイミングや平均通信速度に差こそあれ、全米で同様の現象が確認できるため、「AT&T側が何らかの帯域制限をかけている」「何らかのトラブルがネットワークに発生している」という2つの可能性が考えられる。だが正確な原因は現時点で不明だ。

回線速度を計測するiPhoneアプリの「Speedtest.net Speed Test」

GizmodoがAT&Tに問い合わせたところ、非公式回答としてHSUPA関連の工事トラブルや停電などが原因だと説明されたという。また復旧見込みについても不明だとコメントしているが、この回答を信用するならば、意図的な帯域制限などではなく、一時的なトラブルに過ぎないということになる。

AT&Tのネットワークについて、「街中でつながりにくい」「圏外エリアが多い」「コールドロップが多発する」といった回線品質の問題がたびたび指摘されているものの、筆者が6月24日のiPhone 4発売以来テザリングによるPC接続で仕事を続けているが、"街中の電波が届くエリアにいる"という条件でテストしてみたところ、アップロード/ダウンロードともに1~1.5Mbps程度の安定した通信が利用できたのでけっこう満足していた。回線品質向上のためのデータ通信の従量制への移行というトレードオフだと考えているので、これが事故であれ故意なものであれ、今後も続くようなことがあれば非常に残念な結果だ。