土用の丑の日、輸入うなぎを選びますか
日本鰻輸入組合の森山喬司理事長 |
今年の土用の丑の日は7月26日。普段はうなぎを食べなくても、この日ばかりは食べておこうと思う人も多いはず。しかしながら、台湾産や中国産うなぎの国産偽装問題があったり、国産うなぎは値も張ることから、「一体どのうなぎを買えばいいのやら」と悩んでしまう。そんな中、日本鰻輸入組合が中国産うなぎの試食会を開催した。同組合は、組合員輸入量が、日本に輸入される活鰻全体の約6割を占めている。さて、実際のところ、中国産うなぎの品質はどの程度のものなのだろうか。
まず同組合理事長の森山喬司氏は、「冷凍餃子問題で中国産食品に対する目が厳しくなっているが、うなぎ加工品に関しては年間何万tも輸出する中で数件の違反事項があるのみで違反率は0.6%。他の食品に比べると低い確率となっている。しかしながら今後は違反事項をゼロになるよう努めていく」と冒頭でコメント。昨年の中国産うなぎの売れ行きは上々とのことで、「消費者から正当に評価される状況が整ってきた」(森山氏)としている。
うなぎの養殖池や加工工場に話題は移る。現在、中国での主なうなぎ養殖地は福建省と広東省。福建省ではハウス養殖が主体で、半年~1年という短期間で出荷可能といい、露地池で1年~2年かけてじっくりと成鰻へと育てる広東省の養殖池については「状態の良いうなぎを1年を通して供給可能」(同組合広報)。
5段階の検査をクリアして流通可能に
「養殖池では、泥臭や薬物残留などの検査が行われ、検索にクリアして初めて生産許可が下りるという体制がとられている」(同組合広報)。また、中国産うなぎの加工品を日本で流通させるためには、中国国内と日本国内で合計5段階の検査をクリアする必要があるという。「養殖池・池揚げ前検査」「加工場搬入時検査」「加工場から出荷時の製品検査」「中国からの輸出時検査」「日本での輸入時検査」の5段階だ。この検査をクリアするため、加工業者は、製造プロセス全体をHACCP(食品製造において安全を確保するための管理手法の1つ)に基づいて設計・管理させるのが標準になっているとのことだ。
しかしながら今年は卸値の上昇や、養殖うなぎの種苗となるシラスウナギ不漁など、不安要素も出てきている。これについては、「加工品・活鰻共に1月以降仕入れ価格が上昇。単価高やシラス不漁が影響し、加工品に関しては5月~8月の輸入総量が昨年の1/3程度と予想される」(同組合広報)。価格については、「国産うなぎの3割程度。輸入量減が予想されている今年は少し上昇するが、それでも半額程度に落ち着くと見ている」(森山氏)。 最後に中国産うなぎを使用したうな重が配られ、試食。ふっくらと肉厚で、程よく脂が乗っている。うなぎは、捌き方や焼き方など、職人の技術に仕上がりが大きく左右されるが、正直この味で国産の半額ならば大満足、といったところだ。聞けば中国の養殖池では、1坪当たり15匹程度のうなぎを放っており、ゆったりとした広さのためストレス少なく育つのだという。そして、これがおいしさにつながると考えられている。ちなみに日本の養殖池では1坪当たり150匹~200匹となっている。
日本で食されるうなぎの約7割は中国産という。「今後も安全でおいしい中国うなぎを適正価格で供給できるよう努めていく」(森山氏)と締めくくった。