App Storeの運営でAppleはどれだけの利益を得たのか? - 世界で最も賑わっているオンラインストアの1つといえるApp Storeだが、そのストアの運営状況を知る人はごくわずかだろう。これはAppleのシークレットファクターの1つだからだ。だが、これまでにAppleから得られた情報を基に状況を試算したあるアナリストによれば、同社がトータル2年間にわたるストア運営で得た利益は1億8,900万ドルほどで、損益分岐点をわずかに上回る程度だという。

これはApple系レポートで知られる米Piper JaffrayのアナリストGene Munster氏の試算だ。Munster氏がまとめたレポートの内容は、All Things DigitalのDigitalDailyコーナーでJohn Paczkowski氏が概要をまとめている

先日、米Apple CEOのSteve Jobs氏はWWDCで有料/無料含めて50億のアプリダウンロードが累計で行われ、これまでにデベロッパーに対して10億ドルの支払いを行ってきたと公表している。だがMunster氏によれば、有料アプリの平均販売価格(ASP)は1.49ドルで、一般に公表されているApp Storeの分配比率に当てはめれば、70% (1.04ドル)が開発者に渡され、0.20ドルとさらに売上の2% (0.23ドル)がトランザクション処理料としてクレジットカード会社に支払われ、1% (0.02ドル)が1アプリあたりの運営コスト(コンテンツ保存と配信料)としてかかるとすると、残りの14% (0.23ドル)がAppleの利益となる。Munster氏はこれに、App Store開始以来の有料アプリの総売上4億2,800万ドルにこの利益率44%を加味すると、1億8,900万ドル程度の利益になると予測している。

これは、Appleがこれまでに40億のフリーアプリのダウンロードのためにストアに対して8,100万ドルを費やしてきたことを除外した数字のため、ストアの盛り上がりほどにはAppleにとっての利益には直結していないということのようだ。

だがアプリ単体ではギリギリ黒字程度だったとしても、これが開発者を集める原動力になり、iPhoneやiPod touch、そしてiPadの売上に結びついているのだとしたら、むしろこちらのマイナス分を他で大きく取り返しているともいえる。現在、競合他社もアプリストアの構築と盛り上げにまい進しているが、こうしたバランスでストアを運営していくのは並々ならぬ努力が必要なのかもしれない。