作画の仕上げにデジタル処理を活用
『海猿』、『ブラックジャックによろしく』などのヒット作で知られる人気漫画家 佐藤秀峰氏。漫画出版業界の実情などを、赤裸々に語ることでも話題となった佐藤氏は、作品執筆の過程で、液晶ペンタブレットを活用しているという。
そんな佐藤氏に、創作に対する姿勢、デジタル作画に対する考え方、漫画出版業界の現状に対する認識、佐藤氏自身が思い描くこれからの漫画ビジネスの姿など、本当に様々な話を訊いた。
佐藤秀峰 |
――佐藤先生は漫画執筆に液晶ペンタブレットを使用されているそうですね。
佐藤秀峰(以下、佐藤)「1年ほど前から、液晶ペンタブレットのCintiq 21 UXを使用しています。家電量販店で触ってみて、『これはいい』と思い、使うようになりました。僕はそれまで、ペンタブレットが苦手だったんです。作画で線を実際に引くとき、縦線に比べて、横線は描きにくいんです。そこで紙を回転させて線を描くのですが、ペンタブレットの場合は回転が面倒で……。でも店頭でCintiq 21 UXを試してみて、『これは画面を楽に回転できる』と思い購入しました。使ってみると、板型のペンタブレットと違い、そのまま手描きのように、直感的に描けると感じましたね」
――それ以前は、どのような環境で執筆していたのでしょうか?
佐藤「完全にアナログで制作していました。漫画用の資料の整理などにPCを使う程度でした」
――現在では、どの程度デジタル化されているのでしょうか?
佐藤「今でも、多くの作業はアナログなんです。紙に描いて仕上げの部分をデジタル化しているという感じです。そこで液晶ペンタブレットを活用しています」
――具体的に、仕上げのどのような部分をデジタル化されているのですか?
―佐藤「手描きの原稿をスキャンして、汚れやゴミをとり、ネームの文字を打つ作業です。あとは、スクリーントーンを貼る作業ですね」