『スーパーファンド・ジャパン』は、一言で言えば「個人でも利用できるファンド」だ。最低投資額は10万円から。今回は、そのファンドを運用するスーパーファンドのトレーディング・システムのロジックをご紹介する。
2人の"クリスチャン"がシステムを開発
スーパーファンドのトレーディング・システムは、1990年代にウィーンで、2人の"クリスチャン"、クリスチャン・バハ氏(創立者)と、クリスチャン・ハルペル氏(研究開発責任者)が出会ったことによって始まった。すでにこのころ、商品先物を扱うトレーディング・システムがいくつも開発されていた。「2人のクリスチャンは、すでに商品先物システムを運用している企業を徹底的に回り、インタビューをしました。それから、システムの開発に入ったのです」(スーパーファンド証券のヨハン・ピーター・サンター代表取締役社長)。
スーパーファンドのトレーディング・システムは、商品先物だけではなく、金融先物も組み込んでいる点に特徴がある。そこには徹底した"分散投資"という考え方が貫かれている。
金融先物と商品先物市場の値動きは、ほぼ独立している。株価が上がったから、コーヒーの価格が下がるなどという関連性は「ほぼない」と言っていいだろう。さらに商品先物市場の中の各商品、金属、エネルギー資源、穀物などの価格も、それぞれほぼ独立した動きを示す。金の価格が上がったら、トウモロコシの価格が下がるなどという関連性もほぼないだろう。このように、まったく独立した市場を複数組み込むことで、スーパーファンド・ジャパンは、リスクを確実に分散させることに成功している。
システムが収益を得る"値動きパターン"を発見
さらに優れているのが、「投資機会を選ぶ」という点だ。
「投資対象は150種類ほどですが、通常投資しているのは30種類から40種類ほどです」(サンター氏)。
つまり、いつも投資対象の全てに投資を行っているわけではない。システムが、収益を得る可能性がある値動きパターンを発見し、その時だけ取引を行う。150種類の独立した市場が対象であるため、常に30~40の勝ちパターンを発見できる可能性が高いというわけだ。
では、このシステムのロジックはどうなっているのか。
「基本的に見ているのは、各市場の始値、終値、最高値、最安値、売買高などのテクニカルな数値です。ファンダメンタルな要素はすべて市場の数値に織り込まれて表現されていると考えています」。
サンター氏がこう言うように、テクニカル分析主体だ。具体的にシステムがどのような仕組みになっているかは、企業秘密なので明かせないが、150の市場をウォッチして、そこから収益チャンスが期待できる値動きパターンを察知する。また、150の市場個々に別のロジックを適用するのではなく、基本的には同じロジックで価格パターンを察知できるという。
「取引の基本戦略は、トレンド・フォローです。中長期の上昇トレンドあるいは下降トレンドを捕らえて、そのトレンドが続く限り追従し続けます」(サンター氏)。分かりやすく言えば、順張りシステムだ。さまざまなトレンドを察知し、その波に乗っていくことによって利益獲得を目指す。
日経225先物やFXのトレーディング・システムの多くが、デイトレード中心で、アノマリティや心理的スプレッドと呼ばれる「適切な価格と実際の価格の差」に着目して利益をあげていくのとは対照的に、ある意味伝統的で本格的な戦略のロジックだ。
「相場の格言に、『頭と尻尾はくれてやれ』というのがありますが、スーパーファンド・ジャパンのロジックは、まさにそうなっています。トレンドが形成されたことを察知して取引を始め、そのトレンドが反転したことを確認して決済をします。ですから、後から見れば、もっと早く取引を始めていればもっと利益がとれた、もっと早く決済しておけば、最後の小さな損失は出さずに済んだということになります。しかし、このようにトレンドを確実にフォローをすることにより、全体の利益を最大化しているのです」(サンター氏)。
また、損切りは早く、厳密だ。「各取引の初期リスクの上限は事前に定められていて、それを越える損失が出た場合は、すぐに決済を行い、いわゆる損切りを行います」(サンター氏)。
どんな事態が起きても、淡々と「最善の運用方針」貫く
またサンター氏は、「一般的に、ファンドマネージャーという人間が運用するファンドが多いですが、過去の運用実績を見ても、システムの方が優れていることは明らかです」と語る。人間のファンドマネージャーは人間なので感情をもっており、順調な時はいいのだが、ひとたび損失を出すと、取り返そうとするあまりそれまでとは違った運用方法をとってしまうこともある。実際、損失を出せば、ファンドマネージャーは、顧客からの厳しい言葉を耳にしなければならない。それでも、従来の運用方針を変えずに貫ける強い精神力をもった人間は、そうは多くないだろう。
「成功したファンドでもこういう問題があります。そのファンドマネージャーが他社へ移籍する、または自分で会社を立ち上げるというリスクがあるのです。そうなれば、どうしてもそのファンドの運用方針は微妙に違ってきてしまいます。システムではこういった問題が起こりません。どんな事態が起きても、淡々と最善の運用方針を貫いていけるのです」(サンター氏)。
「個人投資家でも利用できる」ファンド
こう見てくると、一般に存在する日経225先物やFXのトレーディング・システムとは、かなり性格の違ったものであることが分かるはずだ。その違いは、スーパーファンド・ジャパンの基本コンセプトが「個人投資家でも利用できるファンド」というものであることにある。日本人の金融資産といえば、「定期預金」「生命保険」「個人年金」「株式」「国債」「株式系ファンド」などが基本で、余剰資金で金融先物やFXを利用するといったパターンが多いだろう。
しかし、定期預金や株式、株式系ファンドなどは密接に関連していて、株が下がればすべて下がりやすい関係になっている。そのために、リーマン・ショックなどの事件が起きると、日本人全員の個人資産が目減りし、消費が落ち込み、不況から脱出できないという負の連鎖にはまってしまうことになる。日本人の個人資産は、筋肉は隆々としているかもしれないが、骨折しやすいというような、ある意味不健康な脆(もろ)さをもっているのだ。
「私どもとしては、スーパーファンド・ジャパンを余剰資金で利用するというのではなく、ぜひ個人資産のポートフォリオの中に組み込んでいただきたいと考えています」(サンター氏)。
従来の金融資産とは性格の異なるスーパーファンド・ジャパンを組み込むことで、筋肉も骨も強い健康体を作ることができるのだ。「また、投資される資金は、短期ではなく、長期で参加されることをお薦めしています。私どもでは、最低でも5年間というスパンで投資していただけるようにお薦めしています」(サンター氏)。
もう、脆弱な金融資産を抱えていては、自分の将来を守ることは難しくなっている。スーパーファンド・ジャパンについて知ることは、あなたの金融資産の健康チェックをし、ポートフォリオを根本から見直してみるいい機会となるのでははないだろうか。