ウォークマンドックコンポ「NAS-V7M」を使ってみた。NAS-V7Mは、簡単にいえば、WM-PORTを装備し、ウォークマンとダイレクト接続が可能なドックスピーカーに、CDやAM/FMチューナーなどの機能をプラスして、コンポとしても使えるようにした製品。録音用のメモリーを内蔵したNAS-V7Mとメモリーを内蔵しないNAS-V5の2モデルが同時発売される。両モデルとも、無線/有線のネットワーク機能を搭載しており、インターネットラジオやDLNAクライアント機能も利用可能だ。

多機能なウォークマンドックコンポ「NAS-V7M」

録音やジュークボックス機能も備えるWM-PORT搭載コンポ「NAS-7VM」。カラーはゴールドと、シルバーの2色

内蔵メモリー非搭載のNAS-V5はブラックとピンクの2色が

まずは、本体の外観から見ていこう。本体は、ラウンドしたフォルムが特徴的な一体型。前面は2段になっており、上段がWM-PORT、USBポート、操作パネルと表示部分で、下側はスピーカーボックスとなっている。また、天面にはスロットインタイプのCDドライブを装備する。操作パネルには、「ウォークマン」「ジュークボックス」「ミュージックサービス」「ジュークボックス録音」のダイレクトボタンに、カーソルやホームキー、「再生/一時停止」「停止」などといったボタンが並ぶ。基本的な操作は、この操作パネルからも可能だが、実際には、リモコンから操作することのほうが多いだろう。操作パネルの左側には、WM-PORT、USBポートを、それぞれ1基ずつ装備する。USBポートの装備により、WM-PORTを搭載するウォークマンだけでなく、USBポートを搭載したウォークマン、あるいは、そのほかのUSBデバイスも接続可能だ。とはいえ、操作性や機能の面などから、NAS-V7Mは、やはり、ウォークマンとセットで使用すると考えた方がよい製品ではある。なお、スイッチ類はすべて上面に配置されており、正面から見ると、非常にすっきりとしたデザインだ。下段のスピーカーボックスには、65mmのフルレンジユニット×2がマウントされる。

アンプは、デジタルアンプ「S-Master」を採用し、実用最大出力は7.5W×2だ。端子類はすべて背面に配置。背面の右上には、アナログのライン入力端子と、ヘッドホン端子が並ぶ(いずれも3.5mmステレオミニジャック)。一般的な機器では、ヘッドホン端子はフロントにあった方が便利だとは思うが、ウォークマン用のドックコンポである本機では、ヘッドホン端子の使用頻度はそれほど高くはないのだろう。背面の下には、取り外し可能な蓋があり、この中に、右側にはアンテナ端子、左側にはネットワーク端子が納められている。アンテナ端子はFM用がF型、AM用はスナップ式だ(蓋は、下部がオープンになっているため、ケーブルを接続した状態で閉めることが可能だ)。

NAS-V7Mの操作パネル

CDはスロットインタイプ

実際の操作はリモコンから行うケースが多くなる

ヘッドホン端子は背面上部に配置

背面右下にはアンテナ端子 背面左下にはネットワーク端子

音楽CDの録音

NAS-V7Mでは、音楽CDの再生だけでなく、内蔵メモリーやウォークマンへの録音が可能だ。楽曲情報データベースを収録しており、録音時には本体だけで楽曲情報の自動入力ができる(録音用のメモリーを装備していないNAS-V5でも、ウォークマンを接続すれば、CDなどから録音することは可能だ。ただし、本体に楽曲情報データベースを収録していないため、楽曲情報の自動入力にはネットへの接続が必要)。本体で録音を行った場合、フォーマットはMP3形式となり、ビットレートは128/256kbpsを選ぶことができる(最大収録曲数は2万)。NAS-V7Mの内蔵メモリー容量は16GB。普通のアルバムならば150枚(256kbpsの場合)~300枚(128kbpsの場合)ぐらいは取りこむことができる。これだけで十分という人も多いのではないだろうか。また、音楽CDからだけでなく、アナログの外部入力端子や、ラジオなどからの録音も可能だ(インターネットラジオやDLNAからの録音には非対応)。NAS-V7Mで録音した音楽ファイルは、もちろん、接続したウォークマンに転送できる。また、ウォークマンへの充電も可能であり、本機だけで、ウォークマンの母艦として必要な機能は、ほぼすべてカバーしていることになる。

実際に音楽CDから内蔵メモリーへの録音を行ってみると、その手順は、いたってシンプルだ。音楽CDを入れて、「CDワンタッチ録音」ボタンを押すと、収録されている楽曲情報データベースからアルバムの情報を検索してくる(データベースに収録されていない新譜は、CDDBから取得する)。正しい情報が表示されたら「OK」ボタンを押す。これだけの手順だ。初めて操作する人でも、まず迷うことはないだろう。録音には多少時間がかかる。今回、使用したCDのトータルの録音時間は56.8分。録音を開始してから終了までに、28分30秒ほどかかった。およそ2倍速といったところ。また、ウォークマンへの転送は1分40秒ほどだった。ウォークマンへの転送は、ジュークボックスの状態で「オプション」-「ウォークマンへ転送」という手順で行う。ジュークボックスで再生中にこの操作を行うと、曲単位での転送になる。ここで「戻る」ボタンを押すと、アルバム単位になり、さらに「戻る」ボタンを押すと、アーチスト単位での転送になる。

ウォークマンへの転送は、ジュークボックスのオプションメニューから

「戻る」ボタンを押すと、曲単位→アルバム単位→アーチスト単位と選択できる

NAS-V7Mの音の傾向に付いて

NAS-V7Mは、一体型のシステムであり、使用しているスピーカーユニッも、さほど大きくはない65mmフルレンジ。実際に聴いてみると、意外なほど自然なサウンドだった。このようなシステムでは、低域と高域を強調したようなサウンドにまとめられることが多いのだが、NAS-V7Mには、そういった感じはあまりない。どちらかというと、中域の聴きやすさで全体をまとめたようなサウンドだ。32bit DSPによるサウンドエフェクトは、「ダイナミック」「リラックス」「クリア」「ライブ」「オフ」の5種類。さらに、低域の迫力をアップする「MEGABASS」も搭載するが、これらを使用した場合でも、低域が過度に強調されるということはなく、自然なバランスを保つ。指向性は、とくに強いということはなく、聴く位置によって、音の傾向はそれほど変化せず、一体型ののドックコンポというジャンルとしては使いやすい。これは、スピーカーが外側に向いたラウンドスタイルを採用する、NAS-7VMの形状からくるものだろう。

手軽に使えるDLNAプレーヤー

NAS-V7Mは、DLNA 1.5のクライアント機能も装備している。さらに、従来のネットジュークでは有線だけだったネットワーク接続が、無線LANにも対応したことで格段に使いやすくなった。内部にストレージを持つNAS-V7Mではあるが、その容量は16GBと、PCのHDDなどに比べると小さい。よく聴く音楽ファイルはNAS-V7Mのメモリーに、それ以外はサーバーからストリーミング再生といった使い分けは有効だろう。

DLNAの設定は、同社の他製品のネットワーク設定と基本的には同じだ。まず、「ホームネットワーク」-「ネットワーク設定/情報」-「設定する」から「無線LAN設定」を選ぶ。ここで、自分の使用しているアクセスポイントがWPSに対応しているものならば「自動登録(WPS)」を選択。これで自動的に登録が行われる。WPSに対応していない場合には、「手動登録」-「SSIDを検索する」を選ぶ。すると、検索されたアクセスポイントが一覧表示されるので、ここから、自分が使用しているものを選択して、「セキュリティ設定」から自分が使用しているセキュリティを選択、暗号キーを入力という手順になる。これらの設定を行うと、「設定を更新しますか?」というメッセージが表示されるので、ここで「実行します」を選択。「設定を更新中...」というメッセージが表示される。この後、「サーバーがありません」というメッセージが表示されることがあるが、それは、まだ、サーバーソフト側で、NAS-V7Mからの通信を許可するように設定されていないためで、その場合は、サーバーソフトの設定を変更する必要がある。その後、NAS-V7Mの電源をいったん切り、再起動すると、無事にDLNAサーバーに接続されるはずだ。これで、NAS-V7Mから、PC内の音楽ファイルをストリーミング再生できるようになる。

ホームネットワークを選択

無線LAN設定を選ぶ

WPSに対応している場合は、自動登録を選択

自動的に設定が行われる

WPSに対応していない場合は手動登録を選ぶ

SSID検索で自分のアクセスポイントを選択

セキュリティを設定する

DLNAサーバーに接続できるようになる

NAS-V7MとNAS-V5どちらを選ぶ?

NAS-V7Mは、自然な音質、そして生活に邪魔にならないデザインと、大人が使っても違和感のないドックコンポに仕上がっていると感じられた。

さて、現行のウォークマンでは、付属のx-アプリを使用しなくてもドラッグアンドドロップだけでPCから音楽ファイルを転送することができる。そのため、PCが使用できる環境であれば、iTunesやWindowsMediaPlayerなどの、既存の音楽ライブラリをそのまま使用することが可能だ。そのようにしてウォークマンに転送した楽曲は、そのままではNAS-7VM/V5では認識できないが、NAS-V7M/V5のメニューからウォークマンを選択して、「オプション」-「再構築」を選択すれば、x-アプリから取り込んだ楽曲と同じように、NAS-V7M/V5のスピーカーでも聴くことができるようになる(ただし、ウォークマンで歌詞データ転送などの機能を使う場合には、x-アプリが必須となる)。また、NAS-V7M単体ではサポートされない高ビットレートの音楽ファイルも、ウォークマンからならば使用することが可能で、スピーカー再生時の音質的にも有利になる。

ウォークマンから「オプションメニュー」→「楽曲一覧の切り替え」で、ドラッグアンドドロップした楽曲も認識

NAS-V7MとNAS-V5の違いは、内蔵メモリーの搭載によるジュークボックス機能の有無と本体のカラー。もし、新規にウォークマンとドックコンポの両方を揃えるというのならば、価格の安いNAS-V5をチョイスして、その分で、より大容量のウォークマンを選ぶという組み合わせも、筆者としてはありだと思う(例えば、Aシリーズの16GBモデルと32GBモデルのソニースタイルでの価格差は、6月23日現在で5000円程度だ)。