スタンダード&プアーズ(S&P)は25日、イオンの長期会社格付けのアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。格付けはすべて据え置いた。

今回のアウトルックの上方修正は、(1)大幅なコスト削減や事業ポートフォリオの再構築が迅速に進んでおり、収益基盤の改善効果が見込める、(2)新店投資を抑制する方針であることから、2011年2月期以降は有利子負債の減少が進むのに伴って、財務体質が緩やかに改善すると考えられる、とのスタンダード&プアーズの見方を反映している。

S&Pによると、イオンは2010年2月期に大手総合小売業者のなかで唯一、営業増益を確保。増益の主因は、大幅なコスト削減と北米・婦人服事業(タルボット)の合理化(タルボットは2010年4月に第三者に売却済み)であり、「これら取り組みが経営陣の強いリーダーシップのもと、迅速に実行された点を評価している」(S&P)。

中核の国内総合スーパー(GMS)事業では、大型店の新規出店から既存店の収益力強化へと戦略の重点を移しており、並行して進めているコスト構造改善が収益を下支えしている。「加えて、主要商品分野の売場改革や、在庫圧縮・商品改革といった利益率の向上に向けた施策が成果を上げつつある」(S&P)。

また、全国店舗網とグループ力の強みを生かした販促活動を推進していることや、商圏特性に合わせた多様な小売業態の開発に投資負担を抑えつつ注力していることから、S&Pでは、「国内小売市場の低迷が続くなかでも強固な事業基盤を維持できよう」と予測している。