さくら眼科医院の松久充子院長

ノバルティスグループのコンタクトレンズ、レンズケアの事業会社であるチバビジョンは22日、都内で「チバビジョンフォーラム2010」を開催した。同フォーラムでは、さくら眼科医院の松久充子院長が登壇し、「疲れ目にさよなら! "アラフォー世代"からの目のエイジングケア」と題して講演した。

松久氏は、目の焦点調節は、遠くを見る時は交感神経系、近くを見る時は副交感神経系が起こすと紹介。遠くを見ると、水晶体が扁平化し、近くを見ると水晶体が丸くなるが、この水晶体が加齢によって硬化し、徐々に調節力が低下していくことが老視の原因であると述べた。

調節力の不足を補うためには、メガネあるいはコンタクトの装着が最も近道と言える。松久氏は「1つの眼鏡だけ使用する時代は終わった」として、生活スタイルにあわせて、近用の度数と遠用の度数の部分を組み合わせた累進焦点眼鏡や、単焦点眼鏡といった複数の眼鏡を使用することを薦めた。アラフォー世代においては、運転なら遠用単焦点、通常生活なら遠近累進焦点、屋内・(PC作業時)なら中近累進焦点、PCなら近々累進焦点、読書・裁縫・(PC)なら近用単焦点が望ましいとした。なお、アラサー世代であればPC仕事では近用単焦点(近視はひとつ弱い眼鏡の方が好ましい)を推奨した。

また松久氏は、コンタクトレンズで調節力の不足を補う場合に、眼鏡の時と同様、使い分けの方法を提案した。ハードコンタクトレンズ(HCL)の場合、運転・通常生活は累進屈折HCLのみ、PCは累進屈折HCL+近用眼鏡、細かな辞書は累進屈折HCL+近用眼鏡か拡大鏡を薦めた。ソフトコンタクトレンズ(SCL)の場合、運転・通常生活・PCは二重焦点か累進焦点SCL、非常に細かな文字は二重焦点か累進焦点SCL、時には近用眼鏡か拡大鏡も併用するとよいとした。

続いて松久氏は、VDT症候群にも触れ、日本国内では認知度が低い現状を指摘した。VDT症候群とは「visual display terminal syndrome」の略で、ディスプレー画面を長時間見ながら作業をする人に起きる様々な症状を指す。具体的な症状としては以下の通り。

・IT眼症(眼が疲れる、眼が痛い、眼が熱い、視力低下、焦点が合わない、目が乾く)

・整形外科的症状(肩のこり・痛み、首のこり・痛み、腕の痛み・痺れ、腰痛)

・精神神経系の症状(頭痛・頭重感、いらいら、集中力の低下、抑うつ気分、不安感、動悸、胃腸症状、足が冷える、だるい)

なお、予防策としてPC仕事時は、画面との視距離はおおむね40cm以上とし、画面を見るときの視線はやや下向きに、手首や前腕部を机上面で支えるなどするとよい。さくら眼科医院ではVDT症候群と診断すると、適切なコンタクトレンズの処方など行い、個人差はあるが患者によって1週間程度での改善が見られたと述べた。