自見庄三郎 郵政改革・金融担当大臣は22日、金融庁で記者団との就任インタビューに応じ、今月18日に完全施行された改正貸金業法に関し、「趣旨は多重債務者の救済だが、現実にはむしろその法律で困る人がいる」とした上で、そうした人達への対策を検討する「フォローアップチーム」を作ったことを明らかにした。
金融庁では、新大臣が就任した際、各メディア合同の大臣就任インタビューを開催している。今回、自見大臣の就任にあたり、雑誌・ネット・フリー記者らも参加するインタビューも実施した。
自見大臣はインタビューで、通常国会において衆議院を通過したものの参議院で廃案となった郵政改革法案について、「郵政改革法案は非常によくできている。連立与党は信頼で成り立っているので、次の臨時国会でぜひ通していただけると思っている」と述べた。
また、菅直人首相が超党派での議論を呼びかけている消費税増税については、「今日の閣議でも、準備に2~3年はかかるということを言っていた。必ずしも(消費税を任期中は上げないとした)3党合意の精神にもとるとは考えていないが、我々(国民新党)は、今の経済状況を考えたら、デフレ脱却が大切だから、まず景気をきちっとよくして、その後から(の問題と考えている)」と述べ、議論を完全に否定はしないまでも、まず景気回復を優先させるべきとの考えを示した。
法人税の引き下げについても、「近隣のアジア諸国に比べれば(日本の法人税は)高いが、米国に比べればあまり高くない。法人税を下げて日本の企業の空洞化を防ぐことも大事だけど、この10年間で一人当たり100万円の所得が減っている。まずデフレ脱却をすることが大事」と重ねて強調した。
6月18日に完全施行された改正貸金業法については、「一時非常に大きな社会問題となった多重債務者の問題を解決しようと、全党一致で賛成して作った法律。激変緩和措置として、完全施行まである程度時間をかけてやってきた。自民党時代には一度政治が法律を作ればこれは間違いないんだというのが基本的な姿勢だったが、政権交代したわけだから、例外規定と適応除外を設け、企業のほうは非常に簡単な手続きで適用除外になるようにした」と、政権交代後にある程度の対策を行ったと説明。
ただ、「趣旨は多重債務者を救うということだったが、現実にはむしろその法律で困る人がいる」とし、「特に、配偶者で収入のない人とかアルバイトの人とか、(もう一方の)配偶者の同意があれば認められるというが、なかなか手続きが複雑で、入口から受け付けないという貸金業者もいる。政策というのは、光の部分があれば、必ず影の部分もある」と述べた。
その上で、「そういった影の部分をきちっとくみ上げる必要がある」とし、「大塚耕平副大臣の下、(影の部分の対策を行う)フォローアップチームを設けた」と明かした。「金融庁が表に立ってますけれども、省庁横断的に、警察庁、内閣府、厚生労働省、日本銀行が事務方で参加、大塚副大臣が座長、消費者担当の副大臣が座長代理、金融担当の田村謙治政務官が事務局長ということになった」と述べた。
さらに、「そういう意味では画期的。まさに政治主導の結果だと思っている」と自負。最後に、「しっかりまず周知徹底する、事実関係をきちんと把握する、必要な措置を行っていく」とフォローアップチームの役割について話し、「国民の視線に立った、借りる人の目線に立った行政を、政治主導でやらしていただきたい」と決意を語った。