アップルは、5年ぶりにデザインを一新した「Mac mini」(マックミニ)の新製品を発表した。

デザインを一新したMac mini

「最も手頃な価格で、Mac OS X、iLife、またはMac OS X Snow Leopard Serverを楽しむことができるMac」と位置づける同製品は、19.7cm四方の正方形デザイン、厚さ3.6cmのコンパクトなユニボディ構造を採用したアルミニウム筐体に、2.4GHz Intel Core 2 Duoプロセッサ、320GB HDD、2GBのRAMを標準搭載。48個のプロセッシングコアを持つNVIDIA GeForce 320Mグラフィックスプロセッサにより、従来モデルと比べて最大2倍のグラフィックス性能を発揮することで、グラフィックスを多用するアプリケーションや、視覚的に豊かなゲームにも最適な利用環境が提供されるという。

価格は68,800円。従来は2モデルを用意していたが、ラインアップを一本化している。なお、BTOにより、メモリを最大8GBまで拡大できるほか、CPUは2.66GHz版も選択できる。

デスクトップ機としては、初のフルユニボディとなるもので、デザイン性を高めるととも、宇宙航空産業などで利用されるような、1ミクロン単位という精度を持つコンピュータ制御技術による削り出しを実現。強固な筐体構造を達成したという。

また、新たに設けられたHDMI出力ポートにより、Mac miniをハイビジョンTVに接続するといった使い方が可能になったほか、後方に設置されたSDカードスロットにより、デジタルカメラで撮影した写真などを簡単に転送できるようになった。SDカードスロットは、SDHCに加えて、SDXCもサポートしている。

背面部のコネクタ類

一番右側にSDカードスロットが用意されている

さらに、電源を内蔵化したことにより、従来モデルには必要だった外部電源アダプタが不要となり、これを含めたシステム全体の容積を20%削減しているほか、ケーブルが散らかることを最小限に留めているという。

その他、底部のパネルを取り外して、メモリの拡張が簡単にできる点も今回の新モデルの特徴となっている。

「メモリ増設を容易に行いたいという要望に対して、メモリアクセスを可能にした。底部のパネルを回転させれば、簡単に蓋を開けることができる」。

回転させることで底部のパネルを開けることが可能

底部のパネルを取り外したところ。メモリの拡張が行いやすい

蓋の裏側。無線LANユニットの部分はプラスチックとなっている

HDMI-DVIビデオアダプタが付属

IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN(AirMac Extreme)機能およびBluetooth 2.1+EDRを搭載。10/100/1000BASE-T対応有線LANのほか、USB 2.0ポート×4、FireWire 800ポート×1、HDMIポート×1およびMini DisplayPort×1を搭載。付属しているHDMI-DVIビデオアダプタを利用することで、DVI端子しか持たないディスプレイにも接続が可能であり、拡張モード、ミラーモードでのデュアルディスプレイとしての利用もできる。

一方、新たなMac miniは、エネルギー効率でも優れたデスクトップであると同社では位置づけている。

電力消費を25%削減し、アイドル時には、10W未満の消費電力としている。従来のMac miniでは14W弱、ノート機では20W弱であり、それと比較しても大幅に削減されているのがわかる。Energy Star 5.0の要件に適合し、EPEAT Goldの認定を達成。また、アルミニウム筐体はリサイクルしやすい構造となっており、内部部品とケーブルにはポリ塩化ビニル(PVC)を使用せず、臭素化難燃剤(BFR)も含まないなどの環境配慮も行っている。プラスチック使用量は68%も削減されている。さらに、外箱パッケージも従来製品に比べて35%削減しており、物流面での効率化も図れるとしている。

「Mac OS X Snow Leopard Server搭載モデル」

同社では、Mac OS X Snow Leopard Serverを搭載したMac miniも用意した。

右が通常モデル、左がMac OS X Snow Leopard Serverを搭載したMac mini

2.66 GHz Intel Core 2 Duoプロセッサを採用しているほか、DVDスーパードライブを搭載しない代わりに、7,200rpmで動作する500GB HDDを2基搭載。4GBメモリを標準搭載している。さらに、Mac OS X Snow Leopard Serverは、無制限クライアントサポートとしている。価格は98,800円から。

同社では、メール、カレンダー、ファイル管理、Time Machineバックアップ、Wiki Server、Podcast Producerなど、ワークグループやスモールビジネスのあらゆるサーバーニーズを満たす製品としている。

これまでServerモデルは、同社のオンラインストアおよびアップルストアだけの販売だったが、今回の製品では、Mac miniを販売する量販店でも取り扱うことになる。

アップルによると、4月に投入したMacBook Pro、5月に投入したMacBookが好調な売れ行きを示しており、1~3月のボータブル市場全体の成長率の5倍にあたる成長を、アップルが遂げているという。これが新製品発売後の4月には10倍、5月には11倍になっているという。

「既存のMacユーザーの買い換えだけに留まらず、初めてMacを購入するという人が増えている。アップルストアでは、約半分が新たなユーザーの購入となっており、Windowsからの移行が多い。iPhoneやiPod touchによって、アップル製品の使いやすさを認識し、移行しているようだ。Mac miniは、Windowsユーザーが手軽に移行できる製品のひとつに位置づけたい」などとしている。