富士ゼロックスは、カラー複合機「ApeosPort-IV/DocuCentre-IV C2270/C3370/C4470/C5570シリーズ」で、11年連続となる2009年度「省エネ大賞 機器・システム部門」の経済産業大臣賞を受賞した。そして、さらなる省エネに取り組んだのが、4月に発表したA3カラーレーザープリンタの「DocuPrint C3350」だ。そこには、スペック表では決して読み取ることができない、意外な省エネ技術が隠されていた。
富士ゼロックスの技術が集結する「富士ゼロックス R&Dスクエア」
2010年3月、横浜市みなとみらい21地区に、富士ゼロックスの技術が集結する研究開発拠点「富士ゼロックス R&Dスクエア」が完成した。国際都市である横浜という土地柄を活かし、「あつまる、ぶつかる、うまれる」という都市のダイナミズムとグローバルなネットワークを形成することで、「徹底したお客様視点での新しい顧客価値の創造」の実現を目指して作られた施設だ。プリンタの開発も、ここで行われている。
元々、省エネ大賞を受賞した前モデル「DocuPrint C3050」も、フリーベルトニップフューザーやファンレス技術を搭載し、省エネを目指して開発された製品だった。その結果、従来技術の中では省エネを突き詰めた機種となり、9年連続となる省エネ大賞の受賞につながった。
しかし、これをさらに突き詰めるためには、従来の設計常識を見直すレベルでの取り組みが必要となった。前モデルの大きさをそのままにタンデム機として生まれ変わらせ、高機能でありながら小型・低価格・省エネモデルになることを目指した結果が、「DocuPrint C3350」だ。
「省エネにも使いやすさにも、本気でまじめに取り組んだ成果です」と、商品開発本部 第三商品開発部 マネジャーの大西研一氏は語る。省エネだけではなく、現場で本当に使いやすいプリンタとはどういうものなのか、企業が本当に求めている機能は何なのかを見つめ、実現しているモデルなのだ。
TEC値1.29kWh、スリープモード消費電力0.9W以下
「DocuPrint C3350」の省エネ性能を示す値として、「TEC値1.29kWh」というものがある。TEC値とは、実際のオフィスでの利用シーンを想定し、平均的な使い方でどの程度の電力を使用するのかをエネルギースター標準に基づいて算定する、各社共通の省エネ指標だ。電源投入後、スリープと印刷を数回繰り返し、その消費電力から算出する。
レーザープリンタの場合、その機種が1分間で印刷できる枚数の半分を1回のジョブとして規定されるため、どうしても高速印刷が可能な機種ではTEC値が高くなる。つまり、TEC値を比較検討するには、同等の印刷速度を持つ機種間で行わなければならない。「DocuPrint C3350」は、モノクロ・カラーともに1分間に30枚の印刷が可能で、TEC値1.29kWhというのは、このクラスでは最高の値だ。
さらに、スリープモードでの消費電力も非常に少ない。プリンタの使用電力は、待機中と動作中で大きく変わる。富士ゼロックスが特に重視したのは、待機電力の削減だ。
「大量の印刷をする場合を除き、オフィスでのプリンタは待機時間のほうが長いのが一般的です。ここで消費する電力が小さい機種が、実際に運用する上で省電力な機種と言えるでしょう」と、商品開発本部 第三商品開発部 Technical Program Managerである杉村直人氏は語る。「DocuPrint C3350」のスリープモード時の消費電力は、実に従来機78%減となる「0.9W以下」を実現しており、このクラスでは最高の値だ。