日本銀行は15日、同日の政策委員会・金融政策決定会合において、"成長基盤強化"を支援するための資金供給の枠組みを導入することを全員一致で決定した。日本銀行では新たな資金供給について、2010年8月末をめどに開始できるよう準備を進めるとしている。

日本銀行では、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点を踏まえつつ、こうした面でどのような貢献を果たし得るか検討してきた。その結果、15日、成長基盤強化に向けた民間金融機関の自主的な取り組みを金融面から支援するため、新たな資金供給の枠組みを時限措置として導入することとした。

新たな資金供給では、民間金融機関による成長基盤強化に向けた融資・投資の取り組みに応じて、当該金融機関に対し、長期かつ低利の資金を適格な担保を裏付けとして供給する。

対象金融機関は、共通担保オペ(全店貸付)の対象先のうち希望する先で、各対象金融機関は、成長基盤強化に向けた取り組み方針を策定し、一定の要件を満たすことについて日本銀行の確認を受ける。

資金供給の方式は、共通担保を担保とする貸し付け(共通担保オペと同じ電子貸付方式)。貸付期間は原則1年とし、3回まで借り換えを可能とする(最長4年)。新規貸付は、四半期に1回のペースで実施する予定となっている。

貸付利率は、貸付時の無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準。貸付総額の残高上限は3兆円とし、対象金融機関毎の貸付残高の上限は1,500億円とする。貸付受付期限は、2012年3月末(新規貸付の最終実行期限は同年6月末)となっている。

日銀では、資金供給の狙いについて、「金融機関が成長基盤強化に向けた取り組みを進めるうえでの呼び水となること、また、金融機関が自らの判断で行う多種多様な取り組みをできるだけ幅広く後押しすること」としている。

また、「日本銀行自身が個別の企業や業種への資金配分に直接関与しないこと、ならびに資金供給の規模や期間の点で、金利政策や金融調節の円滑な遂行に支障を来たさないことに留意した」と説明している。