先日、米国でのiPhone独占提供キャリアである米AT&Tがテザリングの解禁とデータ通信の従量制への移行を発表したが、それからわずか1週間で英国のiPhone提供キャリアである英O2もデータ通信の無制限プランを廃止し、iPhone 4の料金プランを従量制へと移行する方針を表明した。急速にデータ通信の従量制へと舵を切り出した携帯業界だが、今後日本を含めた各国の動向はどうなるのだろうか?
英国での最初のiPhone提供キャリアとして知られる西Telefonica傘下のO2だが、6月24日のiPhone 4発売を控えた6月10日(現地時間)、同社は新たな料金プランを発表した。これは24日以降の契約者に適用されるもので、既存ユーザーは現状の料金プランをそのまま継続できる。なお、この料金表は24カ月契約時のものだ。
月額 | £25 | £30 | £35 | £40 | £45 | £60 |
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通話時間 | 100 | 300 | 600 | 900 | 1,200 | Unlimited |
テキスト送受信 | 無制限 | |||||
データ通信 | 500MB | 750MB | 1GB | |||
Wi-Fi | 無制限 |
なお現在、O2ではデータ通信を契約すると利用可能容量が無制限になっている。これが24日以降の契約では月額料金に応じて容量キャップが設けられることになり、データ通信の容量超過分は500MBが5ポンド、あるいは1GBが10ポンドという形で従量制で請求されることになる。
この値段が妥当かは利用者によって意見が異なると思うが、これまで無制限だったものが突然制限つきになったことで、とまどいを覚える人は多いだろう。前述の米AT&Tでは、従来のデータ通信無制限の料金が30ドルだったが、従量制の導入に代わり、通信量に応じて25ドルまたは15ドルに料金を引き下げたプランを用意した(超過分は追加料金)。ここ最近のAT&Tのネットワーク回線の品質が極めて悪化しているという理由もあるだろうが、ライトユーザーにとっては実質値下げともいえる措置であり、全面的に従量制への移行を非難すべきとも言いにくい。
だがAT&Tの決定が公になって以降、世界の携帯キャリアやユーザーの間で動揺が広がっているのは確かだ。今回のO2の追随に加え、潜在的に従量制への移行を模索するキャリアは多いとみられる。特にヘビーなトラフィック消費を誘発するiPhoneのような端末を抱えるキャリアは深刻だ。日本でもソフトバンク社長の孫正義氏が、従量制への移行の有無を質問したユーザーに対してTwitterで「悩ましい問題」と回答している。またiPhone提供キャリア以外でも、日本では10日にイー・モバイルが速度制御の基準変更を発表し、従来ユーザーへの影響が懸念されている。どこかで揺り戻しはあると思われるが、当面はAT&Tの決定を皮切りにしたサービスプランの変更が世界各国のキャリアで実施される可能性はあるだろう。