"純正"だけではなくUNIX/Linux環境にも対応
監視をラクにするために重要とされる「モデル化」も、OSやアプリケーション、ID管理、各種サービス……これらに対してすべてイチから自前で実施するとなると、大変な時間と労力を要することになる。
Operations Managerでは、マイクロソフトの各種製品に対するいわば"純正"の管理パックが無償で利用可能となっており、これらを導入することで仮想マシンに対するモデルの適用・監視作業の簡略化が実現できるとのことだ。また、同社はOSについてWindows製品のほかに、AIXやHP-UX、Solaris、Red Hat Enterprise Linux、SUSE Linux Enterprise Serverといった異種環境に対応した管理パックも用意。これらのパックは「各種管理用語などが"Windows語"化されている」ため、「Windowsしか扱ったことがない管理者でも、容易にUNIXやLinuxの仮想マシン環境の監視が行える」(福原氏)という。
さらに、Operations ManagerにはHPやIBMなどハードウェアベンダー各社から提供される管理パックも無償で利用可能となっており、例えば、ネットワークカードやストレージの稼働状況などをすばやく把握するといったことが可能になる。
IT投資の適正化に向けて
一般に「IT投資の7割は運用・保守コスト」と言われているが、長谷川氏によると「日本においては7割どころではなく、9割以上が運用・保守コストというケースも多い」というのが実情だという。逆に言えば、「新規IT投資に割り当てられる費用は1割だけ」ということであり、企業競争力を支えるはずの情報システムがいつまでもそれでいいわけがない。
このような状況が課題として認識され始めているということもあってか、運用管理ツールの売上は「世界市場では前年比約30%増という急速な伸びを見せている」(長谷川氏)という。その背景にはWindows Server 2008やWindows 7といったサーバーとクライアント環境が一気に移行するタイミングであることと、仮想化技術の導入という大きな2つの流れがある。もちろん、仮想化技術の先には、クラウドコンピューティング環境への移行という選択肢が企業において検討され始めていることは言うまでもない。
本稿の内容を見るだけでも、ツールによって「9割」も割り当てられている運用・保守コストの削減を少なからず実現できることはわかるだろう。もちろん、各種要素の「モデル化」には業務プロセスの見直しなど、ツールの役割を超越した部分での変革が求められることになるが、急激に変化するビジネス環境やIT環境に対応していくためには、「ツールの導入」を起点(きっかけ)とした変革があってもいいのかもしれない。