6月9日より11日までの3日間、千葉県幕張メッセにて時間と場所を特定できる販促・広告・情報発信プラットフォーム「デジタルサイネージ」の専門イベント「デジタルサイネージ ジャパン(DSJ) 2010」が開催されている。同展示会は、Interop TOYKO 2010およびInterop Media Convergence(IMC)Tokyo 2010と併催の形で開催されており、今年は3点併せて320社、930小間の出展となっている。今回はそのDSJ 2010の会場において、来場者の人気が集まっていた展示物を中心に気になったものを紹介したい。
スーパーハイビジョンにも対応するマルチディスプレイ
シャープのブースでは、同社が6月7日に発表したマルチディスプレイ対応60V型デジタルサイネージ用LCD「PN-V601」を用いたマルチディスプレイソリューション「I3Wall」を前面に展開している。
6月7日に発表された構成と同じもので、コンテンツとしてスーパーハイビジョンの映像が流れているのだが、画質と、その大きさから来場者からは実際にその場にいるようだ、というつぶやきも聞こえた。
また、同社ブースでは、デジタルサイネージ用LCD「PN-E」シリーズの紹介や、コンテンツ配信システム「e-Signage」の紹介が行われているほか、インフォメーションディスプレイユニット「柱埋め込みタイプ」のデモ展示が行われている。
同ユニットは、すでに都内の主要駅などでも使われ始めているもので、既存の駅の柱に設置されているバックライト型の看板広告を置き換えることを主目的としている。また、デジタルサイネージというもの自体がそれほど普及していないこともあり、「実証実験としての利用も進んでいる」(同ユニット説明員)とのことである。
同ユニットの特徴は、モジュール化した構造を採用していることにより、実際の壁に対し、「2~3時間の施工時間で設置が完了する」(同説明員)という現場の作業利便性と、コンテンツ配信に対しても、有線もしくは無線ネットワークによる配信のほか、スタンドアロンとして活用する場合にはUSBからダイレクトにコンテンツを入れ替えることが可能となっており、「運用面でも従来のデジタルサイネージシステムに比べて、格段に楽になった」(同説明員)と現場にもやさしい仕様になっている。
IntelとMSによるコンセプトデザイン
デジタルサイネージ特設ラウンジでは、IntelとMicrosoft(MS)が共同開発したデジタルサイネージのコンセプトデザイン「インテル インテリジェントデジタルサイネージ」が国内で初めて出展、デモが行われている。
同サイネージは、MSの組み込み向けOS「Windows Embedded Standard 7」とIntelのクアッドコア「Core i7」を組み合わせたもので、左右2つのシステムを別々に動かしている。
国内初展示となる「インテル インテリジェントデジタルサイネージ」。パネル上部に設置されているカメラで人物認識を行い、年齢や性別などに見合った広告表示ができるほか、身長にあった高さにインタフェースを再配置するなどもできる |
インテリジェントデジタルサイネージを背後から見ると、パネルが透けて操作している人が見えるのが分かる |
右側は一般的な縦型LCDを活用したデジタルサイネージだが、左側はガラス板にプロジェクタ投影フィルムおよびタッチパネル用フィルタを貼ることで、半透過型のデジタルサイネージを実現している。
いずれもサイネージ上部にカメラを組み込んでおり、サイネージの前に立つ人物の身長や顔を認識、性別や年齢などを瞬時に判断し、その人に応じた高さに情報を表示するほか、最適なサービスの紹介などが可能となっている。
なお、同システムは、初日配布分に用意していた500部のパンフレットが午前中のみで配布しきってしまうあまりの人気ぶりで、大勢の来場者がひっきりなしに半透過のディスプレイを興味深そうに触ったり、後ろから眺めこんだりしている様子が見られた。