キューブPCや薄型PC、近年ではオールインワンPCやノートブック向けの規格も発表したShuttle。今年のCOMPUTEX TAIPEI 2010のブースでは、"すき間"をついたユニークな新製品が多く展示してあった。
「XS35」はXPC X100の流れを汲む38mm厚ボディのスリムPC。Intel Atomを搭載したモデルと、それにNVIDIA ION2を搭載したモデル2つのバリエーションモデルが展開される。どちらのモデルもファンレス設計。空気を取り入れる冷却穴をボディデザインの一部とし、内部に別色のメッシュパネルを貼り込むことでデザイン性を高めている。
前面にはスリム光学ドライブとメモリカードリーダー、USB 2.0端子×1基を備え、後部にはオーディオ入出力、LAN、USB 2.0×4、D-Sub、HDMIなどを備える。まだ開発中とのことで実装されていなかったが、D-Sub出力は端子穴2つ用意されており、デュアルモニタにも対応する予定としている。また、もうひとつ光学ドライブベイと排他で2nd HDDベイを搭載可能とすることも検討中であるとしている。小さいながらもファンレス、そして実用的なスペックを持つネットトップPCとして期待できそうだ。取材時点でのスケジュールでは、Atomモデルが6月末、ION2モデルは流動的としながらも7月頃を予定。価格もAtomモデルがベアボーンで2万円前後、ION2モデルが2万円後半になるのでは、とのことだ。
デュアルモニタに対応することも検討されているとのことで、サンプル機には実装されていないものの、ケースにはD-Sub用の端子穴が2個用意されている |
小ささを生かしてディスプレイ裏にマウントできる金具も検討されている |
Shuttle伝統のキューブPCでは、今後「SH55J2」「SX58J3」の2モデルが控えている。SH55J2はH55を採用した製品で7月の登場予定、価格は3万円前後。SX58J3はX58を採用したハイエンドモデルで6月10日の発売予定、価格は5万5千円前後。特にSX58J3はCPUクーラーや電源を見直しており、デモ機ではCore i7-980XとGeForce GTX 480を搭載してゲームデモを流していた。従来の同社ハイエンドモデルでは、ハイエンド構成の場合ケース自体がかなりの熱を持つこともあったが、SX58J3はケースが熱いということもなく、説明によれば電源の効率や冷却、CPUクーラーの冷却性能の向上などが図られているとのことだ。
GeForce GTX 480も搭載可能というSX58J3。デモ機もGTX 480やCore i7 980Xを搭載していたが、ケースを触っても熱さは感じられず、会場がうるさかったとはいえ動作音も大きいというほどではなかった |
オールインワン(AIO)デスクトップでは18インチの「DA18IM2」、14インチの「DB14IE1」が展示されていた。どちらもバッテリーを搭載しており、ノートブック感覚で屋内を持ち運べるのが大きな特徴だ。
18インチワイド液晶を搭載したAIOデスクトップ「DA18IM2」 |
サイドに光学ドライブを搭載するほか、ノートブックPCのようなバッテリーも搭載。タッチパネルも備え、大きなタブレットPC的にも利用できる |
そのほか、Shuttleの提案するノートブック向けマザーボード規格「SPA」も、これを採用する製品が多数展示されていた。とくに欧州や途上国での採用が増加しているとのことだが、興味深いのはXS35のようなスリムPCでもこれが活用されているという話だ。元々スモールPCを得意としていたShuttleだが、ノートブックチームの開発力が加わることで、スモールPCの設計がさらに強化されたのだという。また、コンセプト製品ではあるが、外部GPUボックス「i-Power GTX mini」も展示していた。自社ブランドでノートブックを展開しないという同社だが、OEM先などからこうしたアップグレード製品が登場する可能性もあるのだろうか。