スタンダード&プアーズ(S&P)は9日、米国セブンイレブンの長期会社格付けを「ダブルAマイナス」に引き上げ、親会社セブン-イレブン・ジャパン、グループ持ち株会社セブン&アイ・ホールディングスと同水準とした。アウトルックも両社と同様に「ネガティブ」とした。
米国セブンイレブンの長期会社格付けの引き上げは、(1)北米小売り市場で食品を中心に堅調な収益を維持し、財務改善が進むなど同社単体の信用力が向上している、(2)セブン&アイグループにおける同社の戦略的重要性が高まっている、とのスタンダード&プアーズの見方に基づく。
スタンダード&プアーズによると、米国セブンイレブンが事業展開する北米市場は金融危機以降、消費不振に見舞われてきたが、同社は他の商品分野に比べ売り上げが安定的な食料品を主体に取り扱うことから、消費低迷の影響を比較的受けにくい。加えて、店舗運営や商品開発で豊富な実績を持つ親会社の事業運営面での支援が同社の差別化戦略に大きく寄与している。
そのため、米国セブンイレブンは2009年12月期も、前の期に続き現地通貨ベースで既存店売上高のプラス成長を維持するなど、堅調な収益を維持。フランチャイズ店舗の4割が価格変動の大きく、マージンの薄いガソリンを取り扱うことから、営業利益率は多少の変動があるものの、ガソリンを除く商品粗利益率の水準は不況下でも維持されている。
「堅調な業績を背景にキャッシュフロー創出力が安定推移していることから、有利子負債の削減が進み、財務基盤が着実に改善している」(スタンダード&プアーズ)。
また、S&Pによると、セブン&アイグループは海外事業を「セブンイレブン」事業を軸に拡大させる方針で、米国セブンイレブンの出店投資を積極化するとともに、米国以外の海外でのフランチャイズ事業の拡大を目指すとみられる。
スタンダード&プアーズでは、「セブン&アイグループが今後の収益・キャッシュフローの成長源としてセブンイレブンを核となる事業とみなしており、それに伴いセブンイレブンブランドのライセンスを保有する米国セブンイレブンの重要性がグループ内で高まっている」と説明している。