メインの変更点
GNOME版Fedora 13のメジャーな変更点をみていこう。
- 自動プリンタドライバ追加機能
- 自動言語パッケージインストール
- 再設計されたユーザアカウントツール
- モニターやスキャナーを調整できるカラー管理ソフトの導入
- NVIDIAドライバの3Dサポート
これまでFedoraでプリンタを使用する際、プリンタにあわせてドライバを捜し出して手動でインストールしなければならない、といった面倒な問題があった。それがFedora 13よりプリンタ接続時に自動でプリンタドライバが追加されるようになった。これはプリンタを接続したときに認識されるデバイスIDの情報をもとにパッケージを捜し出して自動でインストールするという機能による。
自動言語パッケージインストールは、EclipseやOpenOffice.orgなどのスイートタイプのアプリケーションをインストールしたときに、自動で使用言語のランゲージパッケージをインストールする機能。ただし、まだ導入されたばかりで一部のソフトウェアスイートしか対応していない。
Fedora 13より新しいユーザアカウントツールが追加された。User Account Dialogというツールを使うことでユーザのパーソナル情報や強力なパスフレーズの自動生成、自動ログインの設定などをひとつのウィンドウで設定できる。このユーザアカウントツールを使用するにはaccountsdialogおよびaccountsserviceというパッケージのインストールが必要。
カラー管理ソフトウェアという変わったツールも収録されるようになった。これはアーティストや写真家、デザイナーを支援するために導入されたようだ。たとえば、カラー管理ソフトウェアではモニタのガンマテーブルを変更してアドビガンマテストやブルーテストなどが行える。また、ベンダが提供しているICC/ICMファイルやargyllcmsというパッケージをインストールすることでモニタスキャナ、外部デバイスの検査を行うことも可能。
ビデオドライバへの対応も進んでいる。Fedora 12ではATIの3Dサポートが強化されたが、今回はNVIDIAへの3Dサポート強化を行う目的でNouveauが収録されるようになった。これまでNVIDIAを使うにはとりあえず描画が可能となるNVドライバを使用するか、ネイティブの描画機能を利用できるプロプライエタリドライバを使用するかの二択しかなかったが、3Dアクセラレーションが使用できるNouveauが新たに加わった。ただ、Nouveauによる3D機能が使用できるNVIDIAチップはまだ少ない。
その他のデスクトップアプリケーション、ネットワーク環境
Fedora 13では上記のようなメジャーな変更のほかにもデスクトップ環境向けにいくつか新しいアプリケーションが導入されている。たとえば、twitterやIdenti.caなどのマイクロブログ用アプリであるPinoやフォト管理ツールとしてShotwell、バックアップツールDeja Dupが標準でインストールされるようになった。
Twitterなどのソーシャルネットワークにつながりやすくする「Pino」 |
写真管理ツール「Shotwell」 |
バックアップツールの「Deja Dup」もデフォルトに。クラウド環境に保存することもできる |
ほかにも細かな点ではあるが、ウェブカムのサポート拡大、NetBeans 6.8での Java EE 6のサポート、メモアプリをTomboyからGnoneへ変更、Nautiulsのextra paneビューの追加、スキャナーアプリSimple Scanの導入、などがおこなわれている。
実は、デスクトップ環境だけでなくネットワークや仮想化環境への対応も進められている。たとえば、ネットワーク関連であれば、NFSプロトコルの標準がバージョン4になりクライント側もIPv6に対応したこと、Bluetoothのダイアルネットワークのサポート、グループウェアスイートZarafa Open Source editionの追加などがおこなわれている。
仮想化関連では、KVMネットワーク用カーネルアクセラレーションVHost Netの追加、KVMのVirt x2apicによる高速化やPCIアドレスによる安定化への改善などがおこなわれている。これらの変更もFedoraをデスクトップ環境として利用することを考えると、あったら便利な機能といえる。