2010年7月より、フジテレビ"ノイタミナ"にて放送開始となるTVアニメ『屍鬼』。小野不由美氏が原作のホラーミステリー『屍鬼』(新潮文庫刊)は、『ジャンプスクエア』(集英社刊)にて藤崎竜氏によってコミカライズもされている人気作品で、TVアニメ版では、アミノテツロ氏が監督、シリーズ構成を杉原研二氏、キャラクターデザイン・総作画監督を越智信次氏、アニメーション制作を童夢がそれぞれ担当する。

メインキャスト陣が語るTVアニメ『屍鬼』

そこで今回はアフレコ終了後に、主人公・結城夏野役の内山昂輝、尾崎敏夫役の大川透、室井静信役の興津和幸、清水恵役の戸松遥、桐敷沙子役の悠木碧、辰巳役の高木渉、武藤徹役の岡本信彦といった7名が語った本作の魅力などを紹介していこう。


――皆さんが演じているキャラクターについて紹介してください

内山昂輝「結城夏野役の内山昂輝です。夏野は舞台となる外場村につい最近引っ越してきた高校生なのですが、村のことが好きではなく、大学進学を機に早く都会に出たいと思っている子です」

大川透「尾崎敏夫役の大川透です。敏夫は、村に唯一の病院である尾崎医院にいる、村で唯一人の医者です。外場村に何か病気が流行っているようだということを感じとり、その病気を疫病かもしれないと思いつつ、何とか治していかなければならないと思っているお医者さんなのですが……、大変なことになります(笑)」

興津和幸「室井静信役の興津和幸です。室井静信は、外場村にあるお寺の若住職ですが、住職である父親の身体の調子悪いため、実際にお寺の仕事を取り仕切っていて、『若御院』と村では呼ばれております。敏夫さんとは幼馴染で、二人で『この村はどうなるんだろう』と相談したりしています。お寺の仕事以外にも小説家という副業を持っておりまして、物書き特有の考え込む性格もありつつ、この村の事件のことを一人悶々と考えています」

戸松遥「清水恵役を演じさせていただいております戸松遥です。恵は夏野に恋心を抱いている女の子で、恵ちゃん自身もすごく都会に出たいという願望が強く、ほかの村の人々よりもおしゃれやファンションなど、都会的なことにものすごく興味を持っています。ダサい友だちを、心の中でバカにしているという部分があったりする、すごくミーハーで、ハデな女の子です」

悠木碧「桐敷沙子役をやらせていただいております悠木碧です。沙子は外場村の兼正というところに建っている洋館に引っ越してきた家族の娘で、静信さんが大好きな女の子です」

高木渉「辰巳役の高木渉です。辰巳は桐敷さん家の使用人です。これからちょいちょいといろいろな問題を引き起こしていくかと思います」

岡本信彦「武藤徹役の岡本信彦です。徹ちゃんは、夏野君より年上なのですが、友人のような関係を築いている、とてもきさくで人当たりのいい男の子です。作品には正雄というすごく個性的な性格の男の子がいまして、夏野も個性的なんですけど、そんな個性的な人からも好かれるぐらいの人当たりの良さというのが徹の良いところなのではないかと思います」

――実際に演じてみての感想はいかがですか?

内山「話は殺伐としているのですが、現場はとてもなごやかで、とてもリラックスして怖い作品を作らせていただいているので、良かったなと思っています。役に関しては、回が進むに連れて、どんどんやりがいが大きくなってきています」

大川「外場村という村の中だけで話が進行していくのですが、登場人物がとても多くて、スタジオが一杯になるぐらいのすごい人数で毎回やっております。画のほうのスタッフさんがものすごく頑張ってくださっていて、毎回100%画ができた状態でアフレコをやらせていただいております。そのおかげもあり、監督のアミノさんの決断の早さ、指示の的確さもあって、アフレコもスムーズに進んでいます。役に関しては、本当に敏夫はこれでいいのだろうかと毎回探りながら演じているのですが、だんだんとスタジオに来ると敏夫として座っているのが当たり前という感じになってきたので、終わるまでには100%敏夫になっていたいと思います」

興津「毎回いろいろな人がパタリパタリと亡くなっていき、静信さんは副住職ということで、きっと看取っているはずなのですが、お寺ということからなのか、性格上のものなのか、いつも孤立しているようなキャラクターになっています。自分の腹の中のことを友だちの敏夫さんに話したりするのですが、それでも全部は話し切れず、何かを抱えてしまう静信さんなので、みんなは仲間がいて楽しそうだなって思っています(笑)。でも、スタジオの現場はとても楽しくて、いつも来るのが楽しみです」

戸松「演じている役が、とても個性的で、すごく自我が強い女の子なので、演じているときはとても楽しいですね。自分の中でもいろいろなものを吹っ切って、思いっきりやれる部分があります。私自身、初めてのホラー作品への挑戦だったりもするのですが、『こういうところが怖いな』『こういう演出が怖いな』って思いながら、毎回100%カラーの状態でアフレコをさせていただいていて、これに音が付いて流れる日が楽しみだなってアフレコのたびに思っています。恵ちゃんは夏野君に恋心を抱いていて、ストーカー的なことをするのですが、私はうっちー(内山)にはしないです(一同笑)。仲良くなろうとは頑張っていますけど(笑)」

悠木「アフレコが始まってから、私まだ静信さんとしか喋っておりません。なので、友だちがいなくて寂しいなんて言わないでください(笑)。すごく演じるのが難しいキャラクターで、子どもなのに自分よりも精神年齢が高そうな役なので、深いなって思っています。現場ではいつも皆さんに優しくしていただいて幸せです」

高木「辰巳はまだ登場回数は多くないのですが、ようやく裏の部分がちょっと出てきたかなという感じです。表向きの性格と、桐敷家の謎の部分、そんな二重の性格を持っていそうで、その裏の部分がちょっとずつ出始めてきたので、収録も少しずつ面白くなってきました」

岡本「徹ちゃんは、原作ではとてもいいキャラクターで、とても可愛らしいお兄ちゃんなので、セリフひとつひとつに気持ちを入れて収録に臨んでいるので、収録後はすごくやり切った感があって、本当にいい作品に関われたなと思っています」

――TVアニメ『屍鬼』の魅力や観どころについて教えてください

内山「キャラクター、登場人物が多いのもさることながら、夏野視点だったり、敏夫さんだったり、静信さんだったりと視点が動くので、どの視点に重ね合わせるかによって、観る人の印象が変わってくる作品ではないかと思います。舞台が外場村という日本の田舎で、独特な雰囲気だったり、昔からの因習が残っていたりするところと、それに対するキャラクターの絵は目が大きくて綺麗で、その対比の独特のミスマッチさが不思議な魅力になっているのではないかと思っています」

大川「基本的には群像劇であり、誰か一人が主人公として引っ張っていくようなお話ではないのですが、たくさんの登場人物にも関わらず、ひとりひとりのキャラクターがものすごく立っていて、魅力的な人ばかりなんですよね。タイトルに『屍鬼』とあるのですが、『屍鬼』とはいったい何ぞや? というところはおいおいわかってくるとは思いますが、それを巡って、いろいろな立場にいる人たちがいろいろなことを考えて、いろいろな行動をして、想像して、いろいろな人間関係が入り乱れて、話がドンドン進んでいきます。小説のほうの原作を読まれた方は、結末もご存知だとは思うのですが、大変な話になっていて、人間の本質にまで踏み込んでいくお話になっています。外場村という、もともとあった典型的な日本のひとつのコミュニティーの中で行われていくドラマになっているので、非常に日本人的だし、本当に、『人間って何なんだろう?』というところまで、物語は突き進んでいきますので、楽しみにしてほしいですね」

興津「ほかの作品だと、主人公や周りのキャラクターたちだけが注目されがちなんですけど、この作品はたくさん出てくる登場人物のひとりひとりにもちゃんとドラマがあるんだよということを再認識できる作品になっていると思います。藤崎先生のキャラクターデザインがすごくて、皆さん素敵な髪型をされておりますので、あれがアニメになったらどうなるのか、ぜひ実際に観て確かめてみてください(笑)」

戸松「話の演出的に、『いい意味で裏切る』というのがありまして、この人は大丈夫だろうと思っていた人が、平気で死んでしまったりするんですよね。その衝撃がけっこう大きかったりします。本当にみんなが主役で、出てくる人たちみんなの家族構成などがしっかりできあがっている作品になっていて、出てくる人たちみんなに感情移入してしまうし、この人たちだけには頑張ってほしいなって思えるようなところがすごく斬新だと思います。こんなにもバタバタと死んでしまっていいのかというところも、ほかにないことだと思いますし、またそれが『屍鬼』の魅力であり、面白い部分だと思いますので、まだ原作にふれておらず、初めてアニメで観るという方は、ぜひド肝を抜かれてほしいですね」

悠木「『屍鬼』はフィクションのはずなのに、『本当にあるかもしれないな』といった嫌なリアリティがある作品です。ひとつひとつの家庭環境などもしっかりと作られていて、その中で人がちゃんと生活している。先生が病気と思って調べていることも、ひょっとしたら本当に……と思ってしまうような不安を掻き立てられる部分があります。そういった世界観の中で沙子を演じさせていただいるのですが、起こってほしくないけど、起こるかもしれないというリアルさみたいなものを追求していけたらいいなと思っています。本当にあるかもしれないと思いながら観ると、すっごく怖い作品だと思うので、ドキドキしながら観ていただけたらいいなと思います」

高木「最近アニメやマンガ原作の実写版という作品が数多く作られていますが、この『屍鬼』は実写でやってもすごく面白い作品だと思います。ヒューマンドラマだし、実際にアフレコをしていてもセリフ劇だという実感があります。その中で、アニメならではの表現や演出がすごく面白い作品になっていますので、そこを皆さんに楽しみにしていただければうれしいなと思います」

岡本「見えない謎が、これほど心に恐怖を与えるとは思わなかったというのが正直な感想ですね。最初に作品をざっと読んだとき、謎を追究してそれがわかるまでが、本当に怖くて、心に響いてくるんですよ。そういったストーリーをただ観るだけでもいいのですが、恐怖を受け止めて観るという観方もたぶん楽しいと思いますし、いろいろと推測し、登場人物たちの行動理由などを考えながら観ていただいてもいいのではないかと思います」

――最後に放送を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします

岡本「原作小説から入った方や漫画から入った方、そしてアニメから入る方などいろいろといらっしゃると思いますが、本当にどの方が観ても、面白いと思いますし、逆に言えば、初見の方は、いい感じで心に来る恐怖を味わえると思います。ぜひ観る前にはトイレに行っていただいて、観ていただければうれしいです」

高木「僕も放送を楽しみにしているうちの一人で、すべてのアフレコに参加しているわけではないので、僕の出番がないときの話を早く観たいと思っています。アニメならではの『屍鬼』という作品に仕上がっていると思いますので、そのあたりを皆さんも楽しみにしていてください。すでに原作などをお読みになっていて、話の内容がわかっている方でも、アニメを楽しめるのではないかと思いますので、ひとつ、観る前にはトイレに行ってから、観ていただきたいなと思います(笑)」

悠木「ホラー作品って、ちょっとでも観ちゃうと、逆に最後まで観ないと怖いんですよね。たぶん、一話を観たら面白いからハマります。でも、そこから絶対に見逃したら、後ろが常に怖いと思います。なので、トイレに行って、さらにトイレに、もしかしたら何かがいるかもしれないので、気をつけてください(笑)。大いに怖がっていただければと思います」

戸松「自分自身もすごくホラー作品が大好きなので、今から一話を楽しみにしています。すでにノイタミナ枠を録画予約していて、いつ『屍鬼』が始まってもいいぞという準備がバッチリなぐらいすごく楽しみにしています。演出なども、とてもゾゾゾとくるようなものだったり、観終わった後に『ああ、どうしよう』って、たぶんホラーが苦手な人だったらしばらくはちょっとトラウマになるんじゃないかというものもあったりしますが、怖いだけではなく、話の先がすごく気になるものになっているので、ぜひ楽しみにしていただけたらいいですね。そして一つ忘れてはいけないのが、トイレに行ってから観てください(笑)」

興津「まあ、トイレに行くのは当たり前ということで(笑)、ホラー、怪談というものには、いろいろな怖がらせる手法があって、まず原作の小説は文字で、想像力で、マンガはマンガならではの怖がらせる演出がある。そしてもちろんアニメにはアニメならではの怖がらせ方があると思います。試写で第一話を観たのですが、すべての音がついたときの恐怖といったらなかったです。」

大川「いわゆるホラーという触れ込みで始まるわけですから、7月の深夜よいうのは、非常にバッチリな季節ですね。そして2クールの作品なので、今回はじっくりと取り組まさせていただいております。あまりみんながホラーとか怖いとかっていうので、もしかしたら誤解されているかもしれませんが、ドラマ自体は、そんなに、脅かそうとか怖がらせようという演出にはなっていません。なのに、ふと、ゾゾっとよぎる一瞬の怖さのようなものが、作品の空気のような感じでいつもあるんですね。それで『なんだろうな、これは』と観てもらっているうちに、ある瞬間、すごく怖くなる。そんな瞬間がいつか訪れるのですが、そうなってから話が加速していくので、そのころには完全にドラマの中にのめりこんでいて、もう抜け出せなくなっていることかと思います。ちゃんとトイレに行ってから毎週テレビの前に座るようにしてください(笑)」

内山「放送が始まる7月は熱いですからピッタリじゃないかと思います。やはりリアルタイムで、夜中に一人で観ていただいて、その後にシャワーなんかを浴びるといいんじゃないでしょうか。僕も一人で観たいと思います。二人で観るのはダメです。一人で観てほしいです。トイレはどうでもいいんですけど(笑)、ぜひ一人でご覧になってください」

――ありがとうございました



TVアニメ『屍鬼』は、2010年7月8日より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始。

■TVアニメ『屍鬼』おもなスタッフ
監督 / アミノテツロ◆シリーズ構成 / 杉原研二◆キャラクターデザイン・総作画監督 / 越智信次◆美術監督 / 立田一郎 (スタジオ風雅)◆色彩設計 / 澁谷圭子、馬庭由佳◆撮影監督 / 佐々木正典◆音楽 / 高梨康治◆アニメーション制作 / 童夢

■TVアニメ『屍鬼』おもなキャスト
結城夏野 / 内山昂輝◆尾崎敏夫 / 大川透◆室井静信 / 興津 和幸◆清水恵 / 戸松 遥◆桐敷沙子 / 悠木碧◆辰巳 / 高木渉◆武藤徹 / 岡本信彦◆桐敷正志郎 / GACKT
(C)小野不由美・藤崎竜/集英社・屍鬼製作委員会