AMDはCOMPUTEX TAIPEI 2010にてプレスカンファレンスを開催、世界初という「Fusion APU」のデモを披露し、そしてウエハを公開した。

プレスカンファレンスでの同社Senior Vice President and General Manager, Product GroupのRick Bergman氏の講演は主に「Fusion APU」に関する内容だった。なお、同氏がFusionのウエハを披露したのは講演冒頭の1回のみ、時間にしてわずか1~2分の出来事だ。講演終了後に報道陣がウエハ写真を撮影しようと詰め寄った時には、すぐさまスタッフが駆けつけ、隠すようにバックヤードへと下げられてしまった。

Fusion APUのウエハを掲げるRick Bergman氏

FusionはマルチコアCPUとディスクリートGPUとをひとつのダイ上に構成した、同社が「APU」と呼ぶ次世代プロセッサだ。また、高速なバスアーキテクチャと低レイテンシな共有メモリモデルも採用するとされる。ラインナップにはメインストリーム向けの「Llano」と低消費電力向けの「Ontario」が予定されている。LlanoもOntarioも2011年上半期にサンプル出荷を開始するとのことだ。

Fusion APUの機能とレイアウト図。x86CPUとSIMDエンジンがひとつのダイに統合される

メインストリーム向けに展開されるのがLlano。これを見るかぎり(どの程度かは不明だが)3Dゲームも楽しめる性能であるようだ

低消費電力向けのOntario。「クールで静音、デザインの自由度が高い」とアピールされている

また、世界初というFusion APUの動作デモも行った。デモのひとつ目は3Dゲーム、ふたつ目はMicrosoftが提供しているIE9用デモのひとつである「Browser Flip」。ともにスムーズに描画されていたが、1番目のデモでは解像度や画質オプション等がまったく不明、2番目は一般的な統合GPUとFirefoxの組みあわせでも同程度のフレームレートが出るデモである。パフォーマンスデモというよりも、アプリケーションが正常に動くレベルに達しているという技術デモの意味合いが強いのではないだろうか。

世界初のFusion APU公開デモとのこと

3Dゲームの実行画面。具体的なフレームレートは明かされていないが、統合グラフィックと考えれば十分にスムーズと感じられる描画速度

ブラウザのJavaScript実行スピードを計測するデモ。60fpsに近いスムーズな描画が見られた

あわせて、FusionがCPUとGPUを統合した製品になることに関し、GPUを活用したアプリケーション、OpenCLやDirectComputeといった新しいAPIを活用したソフトウェア開発を支援するため「Fusion Fund Program」を立ち上げるという発表もあった。

Corporate Vice President of World Wide Product MarktingのLislie Sobon氏のグラフィックスに関する講演から。CUDA対抗にOpenCLを持ち出したのと同様、Physicsでも「Open Physics」、3D立体視では「Open Stereo 3D」とオープンスタンダード規格を採用するとのこと

会場展示されていた3D立体視デモ

立体視デモに用いられていたグラス。眉間の部分に何かのレシーバーらしきものがあり、液晶シャッター方式と見られる

内側には電池用とみられるフタもある。実際に装着してみると確かに映像が飛び出して見えるのだが、くまなく探しても液晶シャッターを同期するためのエミッタは見つからず、詳細は不明