亀井静香金融担当大臣は4日、金融庁の大臣室において、雑誌やインターネット、フリー記者らを対象とした定例の閣議後記者会見を開いた。亀井氏は、衆議院を通過し、参議院に送付された郵政改革法案について、「新政権が、必ずこの国会で成立させていただけると確信している」と述べた。

穏やかな表情で鳩山政権の閣僚としてのこれまでを振り返る、亀井静香金融担当大臣

亀井大臣は大臣就任後、毎週火曜・金曜の閣議後、新聞・テレビなどが加盟する金融庁記者クラブでの会見の後、雑誌やインターネット、フリー記者ら記者クラブに加盟していない媒体記者らを対象とし、金融庁の大臣室で記者会見を開いてきた。

亀井大臣は4日、記者クラブでの会見を終えて大臣室に入室した際、集まっていた雑誌、インターネット、フリー記者らに、「短い間お世話になりました」と述べた。その後、鳩山由紀夫内閣最後となった閣議において、辞表を提出し、鳩山総理大臣に対し、「誠心誠意、3党合意の実現に向けて頑張ってくれたことに、心から感謝し、敬意を表します」と述べたことを明らかにした。

続けて、金融大臣になったことに関し、「俺みたいなわがままで乱暴な大臣が来て、金融庁(の職員ら)もびっくりしたと思う。小泉・竹中路線で、やっちゃいかん仕事をやらされていたのを、ひっくり返すと言って乗り込んできたんだから。だが(金融庁の)職員も、コペルニクス的な金融政策の転換に対して、積極的に協力してくれました」と述べた。

さらに、金融大臣としての実績に触れ、「就任以来わずかな期間で、モラトリアム(返済猶予)法案を成立させ、施行し、おかげさまで、中小零細企業やサラリーマンがだいぶ楽になっていると思いますよ」と自負した。また、会見で繰り返し発言してきた、金融機関が果たすべき社会的責任についても、「社会的責任を果たしながら仕事をせないかんということが、だいぶ金融機関に浸透してきた」とし、「金融行政が新しい時代に合った形で根付きつつあるという状況である」と、金融業界・金融行政の変革を、一定程度成し遂げたとの認識を示した。

だが、「ただ、まだ道半ば」とも述べ、「郵政改革法案も必ずこの国会で成立させていただいて、来年10月に施行ということ、私が大臣を去っても、新内閣がきっちりとやっていただけると確信している」とし、郵政改革法案の行方に関し、新政権への期待を表明した。

また、郵政改革法案の策定に関し、「私と原口(一博)大臣がぴたっと呼吸があってね」と、原口総務大臣との連携がうまくいったことを強調。さらに、「今から民主党のほうから11時すぎに(政策協議のために)来るから、国民新党と政策などについて、いろいろ協議することもやりますので」と述べ、新政権発足にあたり、郵政改革法案を含め、政策に関連する協議を早々に開始することを明らかにした。

その後行われた記者との質疑応答では、記者クラブのオープン化に関する質問があった。亀井大臣は、「(オープン化は)当たり前のことなんですね。記者会見でフリーの記者やいろいろな方が全員入れるようしたらいいんじゃないかと(金融庁記者クラブ側に)言ったが、記者クラブが嫌だというから、時間を半分半分にして(記者クラブとは別の会見も)やるよと。一部のメディアがなぜ(オープン化を)拒否するのか、分からないね」と、記者クラブのあり方に疑問を呈していた。

亀井大臣は、金融担当と郵政改革担当を兼務したことについて、「鳩山というのは、なかなか緻密なんだよ」と述べた

金融担当と郵政改革担当を兼務してきたことについて、亀井大臣がそれを希望したのかという質問に対しては、「鳩山(由紀夫氏)、菅(直人氏)、直嶋(正行氏)の3人とは、1年以上前、政権を取る前から、(民主党と国民新党の)両党で、3対3で、毎週金曜日の11時から1時間以上、金融問題もあれば郵政問題、外交問題まで協議していた。あえて(金融大臣と郵政担当大臣を)やったのはどういうことかというと、両党間において、今の金融行政・金融界のあり方は極めて問題だという共通認識があったから」と明かした。

その上で、「なまじっかなことじゃ(金融界の状況は)直らない、亀井みたいな乱暴者にやらしちゃえ、という意思が働いたと思いますよ。郵政というのは、メガバンク以上の影響力があり、我が国の金融、世界の金融に対し、大きな影響を与える。そういう意味では、金融改革を合わせて(郵政担当)大臣をやるという認識で、ちゃんとしたの(大臣)をつけないと、と(いう意思が働いた)。その点、鳩山というのは、なかなか緻密なんだよ」と述べた。

会見の最後の質問で、「亀井大臣が総理になる可能性は?」と聞かれると、「なるわけない。引田天功でもない限り」と笑わせ、鳩山内閣の閣僚としての最後の記者会見を締めくくった。