映画『告白』(湊かなえ原作、中島哲也監督)の公開を記念しての特別授業が3日、東京・品川女子学院で行われ、主演の松たか子と中島監督がゲストに招かれた。
同校では過去3回にわたり、東京都初の民間人校長を務めた藤原和博氏を講師に迎え、体験型授業「よのなか科」の一環として、『告白』を題材に授業を行ってきた。最終授業となるこの日は、松演じる中学校教師・森口悠子による"復讐"の是非を問うことに。女子高生25人に囲まれた松は、「私も女子校にいたことがあるので、懐かしい感じ」と笑みを浮かべたが、授業が始まると一転、真剣な表情で女子高生たちの意見に耳を傾けていた。
その後、藤原氏の発案で討論に加わることになった松と中島監督だが、「森口先生の行動は本当の復讐になる? ならない?」との問いをめぐり、2人が意見を対立させる場面も。「森口先生は罪を犯した少年に対して、自分のやったことに気づかせようと徹底し、その後に起きうることを全部わかった上で行動に移しています。これは復讐と言ってもいいのでは?」と松が主張する一方、「本当の復讐にならない」を選択した監督は、「森口先生の顔を見ながら、この人は(加害者の)少年への復讐よりもさらに重いものを抱え込んでしまい、予想以上に"ヤバイ人"なんじゃないかと思いました」とその理由を語った。
さらに監督が「松さんの芝居を見てそう感じたのに、その松さんが向こうにいるのは実に……」と言いかけたところで、すかさず手を挙げる松。監督に反論するのかと思いきや、「森口先生は復讐を果たすべく行動しているのに、結果的に彼女はさらに孤独になった気がします。となると『復讐にならない』という考えも浮かんできますよね。だから(復讐になる・ならないの)両方です(笑)」とあっさり方針転換。会場の爆笑を誘っていた。
1時間以上に及んだ授業を終えた松は、「マイクを向けられるたびに素晴らしい意見を述べていたし、まだまだ多くの意見が埋まっている気がします。ここで考えたことが、後で必ず大きな自信になるはず」とコメント。最後は女子高生に向けて「いっぱい考え、いっぱい頭を使って、めちゃめちゃ頭のいい大人になってください」とエールを送っていた。