Google TVエコシステムの柱となる協力なパートナー陣

Chandra氏はまた、スマートTVを実現するのに必要なパートナーを網羅した形でGoogle TVが発足するのもスマートTV市場開拓への布石だとした。

Google I/Oの基調講演には、IntelのPaul Otellini氏(プロセッサ)、ソニーのHoward Stringer氏(対応TV/対応Bluerayプレイヤー)、LogitechのGerald Quindlen氏(コンパニオンボックス)、Dish NetworkのCharles Ergen氏(TVサービスプロバイダ)、Best BuyのBrian Dunn氏(家電量販チェーン)、AdobeのShantanu Narayen氏(Webコンテンツ技術)などのCEOが勢揃いした。今はまだ各分野に1社または数社とパートナー企業は少ないが、いずれも有力企業であり、アプリ開発者がスマートTVで実現したいアイディアを形にする環境は揃っている。例えばGoogle TVでは、WebサイトまたはWebアプリからDishのDVRで番組録画予約というようなアクションを起こせる。

魅力的なアプリによるTV向けのソリューションが増えれば、Google TVプラットフォームに参入する企業が増加し、エコシステムがさらに広がることになる。

(右から)Intel、Dish Network、Best Buy、ソニー、Logitech、AdobeのCEOが勢揃い

Google CEOのEric Schmidt氏は「ツールが用意され、(対応家電やコンパニオンボックスなどの)ボリュームがあり、成長が期待できる市場も存在する。われわれに必要なのは、あなた方のアイディアと貴重な時間の投資だ」とGoogle I/O会場に集まった開発者に呼びかけた。フルWebアクセスを実現するGoogle TVではWebアプリが実行可能であり、AndroidベースだからAndroidアプリも動作する。3つめの課題である「シームレスなWebとTVの融合」が実現できるかは、WebアプリまたはAndroidアプリの開発者の協力にかかっているというわけだ。

PC版Android Market(プレビュー)からWeatherBugアプリをGoogle TVに転送

Google TVでWeatherBugアプリが利用可能に

ソニーがGoogle TV採用に乗り出した理由とは?

ソニーはすでにインターネットTVの様々な試みに取り組んでいるが、Stringer氏はこれらを「(Web接続の)ローレベルなサポート」とした。サービスの質が低いという意味ではなく、自由に拡大・成長するWebの本質をサポートしていないという意味だ。Google TVに対する同氏のコメントには度々「アップグレーダブル」「進化」という言葉が登場した。「(ソニーが現在サポートするWeb接続よりもGoogle TVは)拡張性があり、オープンで、活気のあるプラットフォームである。われわれはオープンプラットフォームの可能性を信じている」と述べた。

ソニーのInternet TV。なお「Google TV」はプラットフォーム名であり、製品名は各パートナーが決める

Google TVがフルWebをサポートするならば、ソニーのコンテンツ事業との衝突は避けられない。この点については「Webには数多くのコンテンツが存在し、われわれはWebが進むべき方向を理解している。競争は強まるだろうが、それ以上に、コンテンツを持ち、TVメーカーとして確固たるシェアを築いているわれわれに大きなチャンスがもたらされるだろう」と語った。つけ加えると、Gogole I/O会場での同氏のコメントからは、Android携帯でわずかに出遅れたことに対する後悔も見え隠れした。それもGoogle TVの採用に真っ先に名乗りを上げた理由の1つかもしれない。

現在Googleは、WebサイトをTV向けに最適化するためのガイドラインを提供している。今年秋にソニーのGoogle TV対応TVやBlu-rayプレイヤー、Logitechのコンパニオンボックスなどが米国市場に登場する。来年前半にGoogle TV SDK、TV Web APIなどの提供が始まり、来年夏にGoogle TVはオープンソース化される予定だ。

Google TV、今後のロードマップ

最初のGoogle TVデバイスは、Android携帯で言えば2008年10月に米国で発売されたT-Mobile G1のような製品になりそうだ。開発者がアプリやサービスのアイディアをイメージする形はできているものの、ユーザーにとってはおそらく使いづらいものになるだろう。Android携帯がユーザーレベルで離陸したのは、パートナーが広がり、アプリも増加し始めた2009年11月のDROID発売の頃だった。同様のペースで、Googleの期待通りにGoogle TVプラットフォームも成長すれば、来年(2011年)の秋にTVでのフルWebアクセスがわれわれユーザーにとって身近な存在になる。

HDTVにGoogle TV機能を付加するLogitechのコンパニオンボックス