スタンダード&プアーズは1日、アジア太平洋地域の生命保険業界のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更したと発表した。「欧米の生保市場が依然として信用ファンダメンタルズの弱さに圧迫され、アウトルックがネガティブであるのとは対照的」(S&P)としている。
スタンダード&プアーズは、5月31日に発表した英文リポート「Asia-Pacific Life Insurers: The Growth Story Continues」の中で、「アジア太平洋地域の生命保険会社の見通しは明るいが、世界経済や資産運用の変動の影響を受けやすい状態は続く」との見方を示した。
S&Pでは、アジア太平洋地域の生命保険11市場について、業界・産業リスクのスコアを包括的に検証。香港、シンガポール、台湾、タイの4市場については、2008年末から2009年初めにかけて「ネガティブ」としたアウトルックを、それぞれ「安定的」に変更した。
日本市場のアウトルックは、生保各社の自己資本基盤と生保事業の長期的な成長力に対する不透明感を反映し、「ネガティブ」のままとした。また韓国の生保市場を分析し、アウトルックは「安定的」、経済リスクは中程度、業界リスクは「比較的大きい」とした。中国、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、インドの生保市場のアウトルックは、引き続き「安定的」。