5月1日より全国順次ロードショーされている『劇場版"文学少女"』だが、2010年5月26日(水)には、東京・池袋のシネ・リーヴル池袋にて、多田俊介監督によるスタッフトークショーイベントが開催された。
公開初日以来、数多くの人から「"文学少女"というタイトルから想像されるものとは、いい意味で、かなりショッキングだったり、インパクトがあったり、裏切られたりする内容であった」との感想を聞いたという多田監督。しかし、総じて「面白かった」という感想に安堵の表情を浮かべつつも、すでに原作を読んでいた人からは、「耳元で、『なぜあのキャラをもうちょっとこうしてくれなかったのか』というプライベートなお願いがいっぱい来ました (笑)」と苦笑いを浮かべる。
やはり、原作を読んだ人と読んでいない人では、反応がまったく異なっていたという多田監督だが、「原作を読んでいない人にも、100分の映画の中で、何が行われたのかがわかる内容にしようという企画当初の目的は達成されたようで、『お話が何だかわからなかった』というようなことは言われなかった」と、作品の仕上がりには大きな手ごたえを感じているようだった。
また現在、DVDとしての発売が予定されているオリジナル短編アニメの先行上映も行われているが、短編アニメについては、「映画本編を踏まえた上での短編とのことで、「短編に出てくる絵と同じ絵が映画本編にも存在するようにすることで、キャラクターごとのお話が、本編のほうでもきちんとつながっていくという形をとるというのが、シナリオ、絵コンテの段階から計算していた」という。
絵的にはリンクする劇場版と短編アニメだが、劇場版はあくまでも心葉と遠子の物語であり、劇場版は劇場版、短編は短編としてそれぞれで成立させつつも、「あわせ技にすることで、さらに味わいや深みが増すというものを狙ってみました」という多田監督。各キャラクターのテンションやシチュエーションは劇場版と短編アニメであえて異なるようにしているとのことで、「映画本編に繋がってはいるものの、短編では各キャラクターの持っているバックボーンを描いており、遠子の想い、美羽の想い、ななせの想いといった、あくまでもキャラクターごとの個性の話になっている」と語り、原作小説を読んでいない人にとっては、各ヒロインの映画本編とは異なる新たな一面を見出すことができるという。
5月29日(土)より先行上映がスタートするななせ編については、「ななせの気持ちに共感できる、ある意味、ななせを応援したくなる作品」になっているとのことで、3本の短編の中でも、「フィルムとして単純に楽しめるという意味で、特にななせ編には期待してほしい」と語った。
なお、ななせ編上映中の6月3日(木)には、ふたたびシネ・リーヴル池袋にて、多田監督によるトークショーの開催が予定されている。6月3日のトークショーは短編上映回の終了後に行われるが、開催時間などの詳細については、公式サイトおよびシネ・リーブル池袋の劇場窓口などで確認してほしい。
■『劇場版"文学少女"』おもなスタッフ
原作 / 野村美月「"文学少女"シリーズ」(エンターブレイン ファミ通文庫刊)◆原作イラスト / 竹岡美穂◆監督 / 多田俊介◆構成・脚本 / 山田由香◆キャラクターデザイン / 松本圭太◆音楽 / 伊藤真澄◆アニメーション制作 / Production I.G◆製作"文学少女"製作委員会
■『劇場版"文学少女"』おもなキャスト
天野遠子 / 花澤香菜◆井上心葉 / 入野自由◆琴吹ななせ / 水樹奈々◆櫻井流人 / 宮野真守◆芥川一詩 / 小野大輔◆姫倉麻貴 / 伊藤静◆竹田千愛 / 豊崎愛生◆森ちゃん / 下田麻美◆朝倉美羽 / 平野綾
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