ソフトバンクは28日、直営16店で米アップルの新型情報端末「iPad」の販売を開始した。フラッグショップのソフトバンク表参道では午前7時50分からiPad発売セレモニーを開催、孫正義ソフトバンクモバイル代表も駆けつけた。

ソフトバンク表参道では、発売を30分後に控えた午前7時半の時点で約200人の行列ができていた。予約済みの人を中心に前日から並ぶ人が出始め、そこへ台数限定の当日販売をあてにした人も加わり、長い行列になったようだ。ちなみに店頭予約は今月の10日に受付が始まったが、申し込み多数のために12日に打ち切られていた。28日当日は、1人2台までと購入台数が決められていた。

並んでいたユーザーからは、「アプリをたくさんいれて遊びたい」、「胸がはちきれそう。本と漫画をたくさん読みたい」などの声が聞けた。スーツ姿の人も多く見られたが、購入してから会社に行きます、とのことだった。

iPhoneが発売された際、同店では1,500人を超える行列ができた。今回はそれには及ばなかったが、依然としてアップルの製品に対する消費者の期待が高いことを伺わせる。現場では徹底した交通管理がなされ、少しの混乱も起こらなかった

登壇した孫正義社長はまず「iPhoneと同じ使い方ができ、iPhoneで撮った写真、音楽、アプリ、コンテンツなどをそのまま移せる点」などiPadのiPhoneとの親和性の高さを指摘し、続いて「ツイッターしながらユーストリームの動画を大きい画面で見られること、スピーカーが良いこと」などiPadならではのメリットを述べた。

店頭で挨拶をする孫正義社長と藤井リナ。セレモニーの様子はUstreamでも生中継された

本日発売されたのは、Wi-Fiの利用ができるモデルと、Wi-Fiに加えソフトバンクの3G携帯電話回線が利用できるモデルの2種類。Wi-Fi+3Gモデルは品薄状態で、次回の入荷の目処もたっていないのが現状だ。Wi-Fiモデルは現在、アップルの公式サイトで予約の手続きができる(6月に出荷予定)。価格は48,800円から。

同製品は4月3日に米国で先行発売され、100万台以上を売り上げる人気商品となったが、現在、世界的に品薄状態とされている。商品を間近で撮ることはアップルから禁止されているとのことだった。

今回、一部の店舗で若干数の当日販売を行うとの情報があり、「アップルストア銀座」などでは前日から多くの購入希望者が行列を作っていた。販売されたのは全国のアップル直営7店、ソフトバンクショップ直営16店、家電量販店の一部の、計182店舗。午前8時の解禁時間に合わせて開店時間を早める店舗が多かった。

囲み取材で、孫社長は「部品の組み合わせで同じようなハードウェアを作ることはできるが、これだけアプリを揃えたものはない。世界中のクリエーターにソフトを乗せたいと思わせるほどの支持は、一朝一夕にはできない」とアップルの取り組みを絶賛した。iPadの使いやすさに関しては、音楽を聞きながら本や新聞、雑誌を読む、調べものをする、スケジュールを確認する、アプリをする、メールを送るなど、「ながら作業」に適している点を指摘。生活に潤いが出てくると述べた。GPSもついているので地図も大画面で利用できるし、充電池が10時間くらいもつので気兼ねなく使用できる。手帳、本、パソコン、メモなどを入れていた鞄がいらなくなってしまった、ライフスタイルが変わったとコメントした。

孫社長(左)と、iPadを一番に手に入れた男性

出版市場に与える影響については、「紙に印刷することが大事なのではなく、作品が大事。これからも電子書籍の需要は増えてくる」と述べ、「例えば旅行雑誌、インタビュー記事を読んでいて、ワンタップすれば関連する動画が始まる。画面を傾ければ、絵本が動き出す。こういった使い方で、読者の感動はもっと強くなる。ひいては、出版市場にも良い影響が出るはず」とコメントした。

7月末には海外パケット定額の料金プランを出すことも公表。海外で安心して使えるように配慮するという。現在、海外に行ったときに海外のSIMは刺さることを認めたが、差し替える必要はなくなるかもと自信をのぞかせた。また、この先Wi-Fi網を更に普及させ、iPadを潤沢に供給できるように努力したいと課題も述べた。