米国時間26日、同日取引の株価終値で米Appleと米Microsoftの時価総額が逆転する状態となった。これにより、AppleはIT企業で米国トップ、米国の全企業のランキングにおいても米Exxon Mobilに次いで第2位の地位に躍り出た。3月末にWal-Martを抜いて時価総額で全米3位となったAppleだが、Microsoftとの時価総額の差はまだ500億ドル近い壁があった。それがわずか2カ月弱で逆転することとなり、英Reutersによれば1989年以来21年ぶりのことだという。

Apple (AAPL)の26日終了時点での株価チャート (出典: Google Finance)

Apple (AAPL)の同日株価は前日比-0.48%の244.05ドルで時価総額が約2221億ドル、一方のMicrosoft (MSFT)の同日株価は前日比-4.07%の25.01ドルで時価総額が約2,192億ドルと僅差での逆転となる。当日のチャートは下記の図表を参照いただければわかるが、同日は取引終了間際にDowやNasdaqの指数が急落しており、IT銘柄を中心に全体にマイナス方向に落ち込んでいる。

Apple株価もこれを受けて下落しているものの、Microsoftの下落幅が4%以上と大きく、これが結果として逆転を生み出すことになった。なお時価総額で全企業トップのExxon Mobilは約2,786億ドルとなっており、Appleとの差は500億ドル以上ある。

Microsoft (MSFT)の26日終了時点での株価チャート (出典: Google Finance)

Appleの直近での株価ピークは4月23日の270.83ドルで、時価総額は約2464億ドルとなる。株価下落の幅が小さかったことが、他の株価が大きく落ち込む中でAppleの時価総額を際立たせている状態だ。実際、他のIT大手はここ1カ月で軒並み1~2割ほど株価が落ち込んでおり、1割減少のAppleは下落幅が少ない部類になる。AppleとMicrosoft以外のIT企業の時価総額を紹介すると、IBMが約1,580億ドル、Googleが約1,514億ドル、Cisco Systemsが1,312億ドルとなっている。少し前までほぼ時価総額で並んでいたGoogleと1.5倍近い差がついている。

なお最近の株価は、欧州を発端とした金融不安でチャートの動きが荒くなっている。特にDowなどの指数と連動しているMicrosoftなど大手銘柄はこうした悪影響を受けやすい傾向が強く、必ずしも「MicrosoftよりAppleのほうが将来性がある」と市場が判断しているとは限らないと考える。

また同様の理由で、現在500億ドル差にまで縮まっているAppleとExxonの時価総額が直近で逆転する可能性もゼロではない。Exxonは原油価格の影響を受ける企業であり、Microsoft同様Dow工業平均指数の構成銘柄の1つである。今後の金融不安の進展が、結果としてAppleの相対的な時価総額をさらに浮上させることにつながる可能性がある。