亀井静香金融担当大臣は25日、金融庁の大臣室において、雑誌やインターネット、フリー記者らを対象とした定例の記者会見を開いた。亀井大臣は会見の中で、「安定的に為替レートが推移していく一つの仕組みみたいなものを国際的に作る方法はないのか」と、閣内で提言したことを明らかにした。
亀井大臣は、新聞・テレビなどが加盟する金融庁記者クラブでの会見とは別に、雑誌やインターネット、フリー記者ら記者クラブに加盟していない媒体記者らを対象とした記者会見を開いている。
25日の会見では、閣議の報告は特にないとし、記者からの質問を受け付けた。国際的な銀行改革・金融改革において日本の主張が反映されていないのではないかという質問には、「グローバルな世界の経済・金融について日本が協力するのは当たり前だが、日本が門外漢でいるわけにはいかない。我々のサイドから、こうあるべきとの主張をしていくべきだ」と述べた。
「大事なことは、自分達の世界経済・金融において占めている役割を、日本自体が過小評価している。謙虚すぎるのかもしれないが、実体的には大きな存在なんですよ」とした。その上で、「(菅直人副総理・財務相が行った)月例経済報告の時も言ったんだが、為替レートも、固定相場でやっているところ(国・地域)とそうじゃない(変動相場)ところがあり、いろんな意味でその国の経済に大変打撃を与えることがある。安定的に為替レートが推移していく一つの仕組みみたいなものを国際的につくる方法はないのかと(提案した)」と述べた。
さらに、「世界は一つといいながら、変動相場制の国はハンディを背負っている。そういう問題を日本が積極的に提議していくことをやってはどうかと言った」と、閣内で問題提起したことを明らかにした。
為替や株価の変動に大きな影響を与える格付け会社に関する質問では、「影響が大きいから、適正な格付けの活動をするように金融庁はすでに指導している。格付け会社は何も神の手ではなく、公正な機関でもない。お客さんを自分達が格付けし、商売でやっているのだが、そういうことを一般の人は知らない。(格付け会社に)権威もあるが、全てが全て丸のみするほどの権威ではない」と話した。
6月に完全施行される予定の改正貸金業法に関し、金融庁が健全な消費者金融市場を形成するために、銀行や信用金庫などの積極的な参加が望まれるとしている点については、「メガバンクは自分のところでやらないで、資金を(系列の消費者金融会社などに)流して、自分のところは高い利ざやをとるといったやり方をしているところもある。(だが)銀行というのは、個人事業主や個人に対して、短期や小額の資金需要に応じていく責任があると思いますよ」と述べた。
その上で、「金融庁が指導して(資金融資の)裾野を底辺まで広げていく努力をしていく」と述べ、金融庁として、銀行などに対し、積極的に資金需要に応じていくよう指導する方針を明らかにした。
また、沖縄県の普天間基地の移設先について、鳩山由紀夫総理大臣が同県を訪問し、辺野古周辺を移設先とする考えを明らかにしたことについての質問には、「現時点では、それ(辺野古周辺)もありうるということであり、辺野古は選択肢の一つ。県外や国外へやれないかということは、総理は(今後も)努力する。(辺野古周辺は)最終結論ではなく、沖縄県、社民党、国民新党が同意したものが最終案となる」と説明し、現時点では辺野古周辺は選択肢の一つではあるが、最終案でないことを強調。
県外・国外に移設できないのは何が問題なのかという点については、「何が問題かと言うと、我々の問題。今の日本は占領されたままの意識が抜けていないんだよ。日本人の意識の問題に乗じて、アメリカ側の要求が前に前に出てくる」と、日本国民が防衛について米国に依存する意識を持っていることを指摘。「私は、オバマ政権(の中枢)と話をせないかんと言っている。(今の日米実務者協議は)純軍事技術的な面に引き込まれていっている。基地の運用の問題なんかは、アメリカが工夫すればいいこと」と、大局的な視点にたった日米安保体制の議論が必要だとの見解を示していた。