芥川龍之介の同名短編作品を映画化した『トロッコ』が22日、公開初日を迎え、主演の尾野真千子が東京・銀座のシネスイッチで舞台挨拶を行った。

映画『トロッコ』で2人の息子を持つ母親役を務めた尾野真千子

『トロッコ』は、父親・孟真を亡くし、その悲しさや不安を隠すために母親の夕美子(尾野真千子)に対し心を閉ざしていた8歳の少年・敦(原田賢人)が、孟真の遺灰を届けるために、夕美子と弟・凱(大前喬一)とともに、孟真の故郷である台湾の小さな村を訪れるというもの。台湾で初めて会った孟真の両親や弟、村の人々の温かさに触れる中で、夕美子と敦は親子の絆を取り戻していく。

ロケは全て台湾で行われたという本作。尾野は海外での撮影は初めてだったといい、「私は英語も苦手なので、何も言葉が通じなくて大変だったんですけど、身振り手振りというのは本当に通じるんだな、というのを感じました。演技に関するやりとりも、身振り手振りでした」と、初海外ロケの感想を語った。また、「子供をどう扱ったらいいのかが、最初全然分からなくて……」と、母親役に最初は戸惑いもあったことを明かしたが、「(母親役は)撮影前に子供役の子とコミュニケーションをとる時間を割く場合も多いらしいんですが、台本を読むと、子供と距離感のある母親役だったので"ほっとこう"と思って(笑)」と、あえてそのまま台湾入りしたという。その後、撮影が進むにつれて原田とも仲良くなり、「(台湾では)楽しい思い出しかないです。映画の展開と同じようになりましたね」と、尾野は母親の顔(?)で原田に微笑みかけていた。

「お母さんには申し訳ないんですけど、尾野さんは若くて綺麗で……こんなお母さんだったらいいな、と思いました」と話す原田に、尾野は「いい子ですね~、大好きです! 」

さらに、この日は、開催中の第63回カンヌ映画祭でパルムドールが発表される前日であったことから、カンヌ映画祭についても話が及んだ。第60回カンヌ映画祭でグランプリを受賞した『殯の森』で主演女優を務めた尾野は、「(賞を)いただけるとは思っていなかったので、(会場に)ノーメイクで行っていまして、ちょっと恥ずかしかったです」と、当時のエピソードを披露していた。

左から、本作の川口浩史監督、原田賢人、尾野真千子。川口監督は「現在閉塞感のある日本で、歯を食いしばって日々を生きているご年配の方や、子育てを一生懸命がんばっているお母さん方を応援したい気持ちで作りました」と本作について語った

映画『トロッコ』は、シネスイッチ銀座他で全国順次公開中
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