iPhone OS 3.xで導入された新機能の1つに"テザリング"(Tethering)があるが、中には同機能の利用を許可していない国やキャリアが存在する。米国のiPhone独占提供キャリアである米AT&Tもその1つだが、米Wall Street Journal紙の5月19日(現地時間)の報道によれば、同社が間もなくiPhoneでのテザリングを許可する可能性があるという。
これはWSJが米AT&T OperationsのCEOであるJohn Stankey氏へのインタビューとして報じているもの。AT&TはiPhone以外の一部端末にはテザリングを許可しているなど、そもそも一貫してテザリングを禁止しているわけではない。iPhoneでのテザリングを許可しない理由として、第一に端末利用ユーザー数が圧倒的に多いこと、そして昨年ごろに大きな問題になったネットワークの品質低下だ。iPhoneユーザーはヘビーにネットワーク帯域を消費する傾向が強く、例えばニューヨークやサンフランシスコのベイエリアなど、人口密集地帯でネットワークがつながりにくかったり、あるいは極端にパフォーマンスが落ちる現象が多数報告されている。
だがStankey氏によれば、ここ最近になり問題となっていたニューヨークでのネットワークも改善しつつあり、「ネットワークが十分快適なレベルに到達するまで」と前置きしつつも、今年中にもテザリングを解禁する方針であるという。ネットワーク改善計画はニューヨークが今年第3四半期、サンフランシスコはさらに3カ月遅れで今年中での完了を目指すということだ。つまり第4四半期中にはテザリングが正式解禁されることになる。
このAT&Tのテザリング解禁を示すかのような兆候がほかでも見られる。Boy Genius Report (BGR)では、現在ベータテスト中のiPhone OS 4 beta 4のスクリーンショットを掲載しており、ここでテザリングのオプション設定画面が確認できる。同機能はまだ利用不可能なようだが、AT&Tの動きを後押しするものとなりそうだ。
iPhone OS 4世代ではAT&Tを含め世界のキャリアがテザリング解禁を目指す方向で進み始めている。また次期Android OSの「Android 2.2 "Froyo"」では、テザリングによるWi-Fiホットスポット機能が最大の目玉の1つとなっている。さて、日本ではテザリングに対するキャリア各社の動きはどうなるのだろうか?