今年で19回目を迎える「人とくるまのテクノロジー展 2010」が、19日からパシフィコ横浜で開催されている。会期は21日までの3日間。今回は「低炭素社会の実現に向けて~街に走り出すエコカー~」をテーマに、企画展示や各種フォーラムが開催される。今年の参加企業は365社800ブースと昨年を上回る規模となり、来場者数は65000人を見込んでいる。

近未来がすぐそこにある。各メーカーの最新技術が百花繚乱の企画展示

「これからのくるま社会とくらし」「くるまの技術革新」という2つのテーマに沿った特別企画展示は、各メーカーの最新技術を集めた魅力的なものとなっていた。モーターショーのようなイベントでは、それぞれ自社の最新モデルや技術を展示しているが、燃料電池車のホンダ「FCX」、クリーンディーゼルの日産「エクストレイル」、電気自動車のスバル「プラグイン ステラ」などが一堂に集まると、メーカーそれぞれのアプローチが違うことがよくわかりおもしろい。エコカーであるところの最終到達点はどのメーカーもそれほど差異はないだろうし、それぞれのパワーソースも研究しているはず。しかし、その到達点へ向かう道のりの違いが垣間見え、このような彩りを添えている。

スバル「プラグイン ステラ」は軽自動車をベースに開発された電気自動車。小型軽量が特徴で、1回のフル充電で90kmの航続距離を達成している

手前のダイハツ工業「e:S(イース)」は徹底的に小型軽量化、高効率化を行ない、ハイブリッドなどの技術を採用せず低燃費を実現している。奥にあるのは、クリーンディーゼルの日産「エクストレイル20GT」

車両以外の展示もされる。これはホンダが独自開発した薄膜太陽電池で、従来のシリコン単結晶太陽電池と比較して厚さは約1/80。そのため生産時に使用するエネルギーや排出CO2が大幅に低減されるという

ヤマハのブースには元祖・電動コミューター「EC-03」、電動ならではの自由なデザインが魅力の「EC-fs」、さらに電動アシスト自転車の「PAS Brace-L Special」「PAS er」が並ぶ

ヤマハのハイブリッドモーターサイクル「HV-X」。展示はカットモデルだが、実走している動画をネットで見ることができる

ホンダは電動2輪車の「EV-neo」「EV-Cub」、電動カート「EV-モンパル」、パーソナルモビリティ「U3-X」を展示

試乗や体験コーナーで、技術を身近に感じることも

会場ではさまざまな最新技術のデモンストレーションや、参加者が体験できるコーナーも用意されている。

日産の群走行ロボットカー「EPORO(エポロ)」は、海中の障害物を回避しながら、集団の中でお互いにぶつからずに泳ぐ魚群の習性に着目して開発された。通信によってお互いの距離と方角を認識する初期挙動では、顔を動かして相手をじっと見つめているようにも見え、かなり愛嬌があった。また、トヨタのパーソナルモビリティ「Winglet」は、デモンストレーションのあと、希望者による体験走行も行なわれた。

館外ピロティでは、電気自動車や燃料電池車などに試乗できる「エコカー試乗体験」が開催されていた。用意された車両は、トヨタ「プリウス プラグインハイブリッド」、ホンダ「CR-Z」、三菱「i-MiEV」、スバル「プラグイン ステラ」、日産「エクストレイル FCV」、マツダ「プレマシー ハイドロジェン RE ハイブリッド」の6台。また、電動アシスト自転車「PAS」の試乗も行なわれていて、初めて乗ったという参加者は「ペダルが軽くて楽だった」と感心していた。

日産「EPORO」のデモンストレーションでは、障害物を回避しながら、お互いに距離を保った動きを見せてくれた

トヨタ「Winglet」を駆るデモンストレーター。簡単に乗っているように感じたが、体験者は慣れるまでに苦戦していた

電気自動車やハイブリッド車の試乗エリア。あいにくの天候だったが、非常に注目を集めて、予約で一杯になっていた

会場である「みなとみらい21」内の一般道を走る試乗コースは意外と長く、距離で約3km、所要時間は12分程度だ

電動アシスト自転車「PAS」の試乗は用意された台数に余裕があり、申し込み直後に試乗可能だった

「PAS」の試乗は6種類から選択できる。人気だったのはスポーティモデルの「PAS Brace-L」