ソフトバンクモバイルは18日、2010年の夏商戦向けラインアップとして20機種の新製品を発表した。発表会の冒頭、孫正義社長は「テーマはただ1つ」と話し、「Twitter」にさらに注力していく方針を示した。
ソフトバンクは、2008年春の発表会において「インターネットマシン」という位置づけでハードウェアに注力、09年春にはS-1をはじめとした動画コンテンツに強化。同年冬には無線LANへの対応を拡大することでネットワークスピードを強化していく方針を示した。そして今夏の新機種からは、全機種Twitter対応を行うことで、「新しい流れ」(孫社長)を示していく考えだ。新サービスの発表はなく、「唯一最大のテーマ」(同)がTwitter対応だ。
発表会はUSTREAMで中継を行い、Twitterでは専用ハッシュタグを用意。会見の間にトータル視聴者数は14万400人、ユニーク視聴者数は8万8,300人。Twitterのつぶやきは約4万7,000件に及んだという |
孫社長は、昨年の12月からTwitterを開始。「(Twitterを始めて)人生が、ライフスタイルが変わった」(同)とまで言う。そのTwitterの魅力を「一人でも多くの人と分かち合いたい」(同)というのが今回の発表の根幹にある。
現在、Twitterのアカウント数は1億800万を超え、アカウントをもたずにツイートを見ているだけの人や、iPhoneなどのアプリ経由で利用している人もおり、「爆発的にユーザー数が伸びている」(同)という。特に日本は、急激にユーザーが伸びているそうだ。
孫社長は「最初は、仕事に役立てようとTwitterを始めたが、途中からおもしろくてしょうがない」とその魅力を強調する。
iPhoneをはじめとしたスマートフォンには、Twitterを便利に利用するアプリが豊富にあり、自由にダウンロードして利用できる。しかし、ワンセグやおサイフケータイなど、日本独自のサービスが必要な人は、通常の携帯電話を使用したい。
従来の携帯電話からTwitterを利用する場合は、専用のモバイルサイトを利用するしかなかった。だがTwitter用のモバイルサイトには、「遅い、見にくい、アイコンが小さいなどの問題があった」と孫社長は話す。
そうした場合にもTwitterを使いやすいように、新機種では、Twitterのウィジェットをプリインストール。さらにJavaアプリとして「TweetMe」も搭載した。
これによって、Twitterのつぶやきの一覧であるタイムラインが見やすくなり、携帯で撮った写真をすぐにTwitterに投稿できるようにした。また、Twitterのアカウントがなくても、有名人や人気のツイートを見られる「Twinavi」も装備。孫社長はこうしたTwitterに注力した新機種を「Twitter携帯、ツイケーだ」と名付けている。メールやカメラ機能と同様に、携帯電話に必須の機能としてTwitterを一般化させたいとの考えだ。
孫社長は、Twitterを「モバイルコミュニケーション革命」と表現。電話やメールが個人対個人のコミュニケーションであることとは「遙かに次元が違う」(同)サービスだと絶賛している。孫社長自身、頻繁にツイートしており、ユーザーからの要望に対して「やりましょう」と宣言してサービスを提供するなど、直接コミュニケーションを行っている。
なお、Twitterはコミュニケーションサービスとして、携帯電話のフィルタリングの対象になるが、ソフトバンクではホワイトリストに登録するなどしてフィルタリングを回避し、全ユーザーに開放したい考え。
孫社長は、自身が高校生をフォローしてコミュニケーションを取っていることを引き合いに、フィルタリングによって「大人と子供が(Twitterを介して)コミュニケーションできないようなナンセンスなことをしてはいけない」と話し、Twitterによる「コミュニケーション革命」(同)を推進していきたい考えだ。
孫社長は、「(旧ボーダフォンの買収で)電話の会社をするつもりはなかった。モバイルインターネットのライフスタイルを実現したいという思いでやってきた」と話し、インターネットサービスのTwitterに強力にコミットする。
同様に、ソフトバンクが30%の株式を保有して筆頭株主の動画配信サービス「USTREAM」に関しても、ユーザーがこの5カ月で3倍になり、1億1,000万に達するなど好調で、今回「USTREAM Asia」を新たに設立。日本での事業展開をさらに強化し、その後はアジアへの展開を進めていく意向だ。
孫社長は、USTREAMで動画の生放送が市民の手に渡ったと語る。「左手にTwitter、右手にUSTREAM、そして真ん中にiPhoneが、新三種の神器として広げていきたい」と孫社長は意気込む。
こうした利用をさらに促進するために、ソフトバンクでは無線LAN環境をさらに拡大していく。現在、マクドナルドなどで利用できる、ソフトバンクが提供する公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」だが、17日にはスターバックスコーヒーと提携し、各店舗でWi-Fiサービスを提供することを発表。
さらに新端末発会では、これに加えて60社の企業と提携し、各社の店舗などでサービスを提供することを明らかにした。参加するのは、銀だこ、シダックス、サブウェイ、ミニストップなど。6月1日以降、準備ができ次第サービスを提供。最初に一度認証すれば、あとは店に行くたびに無線LANに接続できるようになるとしている。
ソフトバンクWi-Fiスポットは、ケータイWi-Fi対応機種に加え、既存の全iPhoneユーザーにも当初は無料で提供される。これによって公衆無線LANスポット数は全国で18,000にも達し、「日本では圧倒的に最大」(同)になるという。さらに今後も、続々とエリアを拡大していく方針だ。なお、現時点では無償提供だが、今後有料化についても検討するそうだ。