GACKT

2010年7月より、フジテレビ"ノイタミナ"にてTVアニメ『屍鬼』が放送開始となる。小野不由美氏が原作のホラーミステリー『屍鬼』(新潮文庫刊)は、『ジャンプスクエア』(集英社刊)にて藤崎竜氏によってコミカライズもされている人気作品。TVアニメ版では、アミノテツロ氏が監督、シリーズ構成を杉原研二氏、キャラクターデザイン・総作画監督を越智信次氏、アニメーション制作を童夢がそれぞれ担当する。

注目のキャスト陣は、結城夏野役に内山昂輝、尾崎敏夫役に大川透、室井静信役に興津和幸、清水恵役に戸松遥、桐敷沙子役に悠木碧、辰巳役に高木渉といった顔ぶれとなっているが、ここで注目したいのは、アーティストと高い人気を誇るGACKTが、桐敷正志郎役で、声優として本格参戦するところ。そこで今回は、TVアニメ『屍鬼』で声優に挑戦するGACKTが語ったメッセージを紹介しよう。

GACKTが語るTVアニメ『屍鬼』

――今回『屍鬼』で桐敷正志郎という役のオファーが来たときの感想はいかがですか?

「桐敷正志郎が非常に面白いキャラクターであること、そしてこの物語が『吸血鬼』というものをテーマにしていること、そういった点で、今回僕はテレビで放映されるアニメには初めての参加ということになるのだけど、とてもいいカタチでの参加になったと思う」

――桐敷正志郎というキャラクターについてどんな印象をお持ちですか?

「非常にミステリアスでありながら、心の中に闇を持っている。人間に対する憎しみ、過去のトラウマから来る葛藤のようなもの、そんなアンバランスな中で生きているキャラクターであり、非常にシアトリカルな一面と、掴みづらい性格というところが、このキャラクターの面白いところではないかと思っているよ」

――実際に桐敷正志郎を演じてみた感想はいかがですか?

「思ったよりも非常にスムーズだったよ。監督がどのように作品を仕上げていきたいのかということがわかったので、いいカタチのスタートを切れたのではないかと思う。もう少しシアトリカルなのかなと思っていたところもあったけど、監督と話しをする中で、キャラクターのイメージについて、自分の中でもしっかりと確立することができたので、今後もすごく面白いアプローチができるのではないかと思う」

――今回アニメのレギュラー声優は初挑戦になりますが、ドラマや舞台における俳優の仕事などと比べて、違うところや意識しているところはありますか?

「自然にやればやるほど不自然になってしまうところなどは、アニメならではの独特の文化だと思う。僕は"声"というものに魅力を感じて、声優という仕事をやりたいという気持ちがずっと昔からあったのだけど、多くの声優の方たち、僕に対して愛情を持っていただいている先輩の方たちの手前もあり、やはり中途半端なカタチでは絶対に参加できないという気持ちがあったので、この世界に本格的に入っていくタイミングをいろいろと考えていた。音楽活動を始めて14年が経ち、いろいろな作品に参加し、自分の中でもいろいろな勉強をしてきた今なら、声優として認めてもらえるのではないかという思いが自分の中で固まったので、声優活動もやっていくことを決めたんだ。そんな中、この『屍鬼』というアニメに参加することになったので、僕にとってもいい作品になればいいなと思っているよ」

――『屍鬼』という作品に対する意気込みを教えてください

「顔が出ない中で、『このキャラクターは一体誰がやっているんだろう?』って知らない人が思ってくれる。そして、『GACKTがやっているんだ』って、声から入ってもらうのが、僕にとっては一番うれしい受けとられ方。自分が過去にいろいろなアニメを観て、声の魅力、魔力に惹かれたように、僕もそういうカタチで、観ている人たちが、声の魅力に心酔してもらいたい。そのうえで、実写の僕に触れてもらったとき、『GACKTっていいよね』って言ってもらえるような自分でありたいなと、そう思ってる」

――『屍鬼』は吸血鬼がテーマになっていますが、吸血鬼に対する興味はありますか?

「自分はコンサートにおいて『MOON SAGA』というものを自分で書き、それをテーマに軸を作って、展開するというやり方をソロ活動を始めたときからやっていて、その結果として、『MOON CHILD』を書いたりしている。"ヴァンパイア"という人でない存在を通して、人間の有様を見ることで、本来であればすごくドロドロとした生々しいメッセージが、非常にわかりやすく伝えられる。そういった意味で僕は"ヴァンパイア"というものをテーマを好んでやってるよ。それは遡って、MALICE MIZERの頃からやっていたことなので、ヴァンパイアの伝奇だったり歴史ものだったりを読み漁り、いろいろと調べたりした。あと実生活も、別に自分で意識しているわけではないのだけど、よくそれっぽいなって言われることがあるね(笑)。それは、たまたま僕が紫外線アレルギーだったりとか、非常に光に対して目が弱かったりで、どうしても光を避ける生活スタイルになってしまうという結果、地下に住んでいたりだとか、夜しか行動しなかったりだとか、一応昼間も仕事しているんだけど(笑)、そういったところで、周りの人たちから、『GACKTってヴァンパイアっぽいよね』ってよく言われるし、別にあえてそれは否定もせず、『ああ、そうなんだ』というレベルで捉えているよ」

――これからもアニメの声優として意欲的に参加していく予定は?

「声の魅力ということに対して、自分は非常に感銘を受けていて……、たとえば最初にアニメに触れたとき、本当にすごいなって思ったんだ。まず、世界でもトップレベルの日本を代表する文化だと思う。これってすごく大切なことで、しかもその中で自分が"声"という魅力に触れて、感動して、その立場に、送る側になりたいという気持ちは昔からあった。最初に僕が手にしていたものは音楽で、音楽でまず作品を残そうというところから始まったけど、やはり声だけで勝負したいという部分がある。だから、いわゆるイベント的な参加ではなくて、きっちりと僕の好きな声優陣の方から認めてもらえるように、自分のスタイル、自分の生き方も含めて、決して中途半端な気持ちで関わっているわけではないということをわかってもらえたらという想いで、ここ数年間ずっとそういう人たちと向き合ってきた。以前、池田秀一さんとお話をさせてもらった際に、僕が思うスタイルを貫いてもいいんじゃないか、ということを言われたときには、非常にうれしいというか、やっと少し認めてもらえたなっていう気持ちが正直あったね。今後も素敵な声優の方たちの気持ちにも応えたいし、ファンのみんなにも、いろいろな作品に参加することで、声の魅力、声の魔力というものを見せていきたいなと、そう思っている」

――それでは最後に、『屍鬼』を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします

「非常にミステリアスな作品になっています。非常に面白いテーマ、発想がこの作品にはあふれているので、ぜひお見逃しのないよう、お楽しみに」

――ありがとうございました

GACKTが演じる桐敷正志郎のキャラクター設定画



GACKTが声優として本格参戦するTVアニメ『屍鬼』は、2010年7月8日より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始。

■TVアニメ『屍鬼』おもなスタッフ
監督 / アミノテツロ◆シリーズ構成 / 杉原研二◆キャラクターデザイン・総作画監督 / 越智信次◆美術監督 / 立田一郎 (スタジオ風雅)◆色彩設計 / 澁谷圭子、馬庭由佳◆撮影監督 / 佐々木正典◆音楽 / 高梨康治◆アニメーション制作 / 童夢

■TVアニメ『屍鬼』おもなキャスト
結城夏野 / 内山昂輝◆尾崎敏夫 / 大川透◆室井静信 / 興津 和幸◆清水恵 / 戸松 遥◆桐敷沙子 / 悠木碧◆辰巳 / 高木渉◆桐敷正志郎 / GACKT
(C)小野不由美・藤崎竜/集英社・屍鬼製作委員会