長引く不景気のなか、個人の家計は苦しさを増すばかり。それを反映して、生命保険の世帯加入率は1994年(95%)から下がる一方で、2009年度調査では、ついに86%まで下落してしまっています。そんななか、週刊ダイヤモンド、日経マネーなど各誌でも、保険料ランキングNO1で取り上げられ、今、一番注目の生命保険会社「ネクスティア生命」(旧SBIアクサ生命)の今井隆社長に、人気の秘訣と今後の戦略についてうかがいました。

――今回、SBIグループから独立して、「ネクスティア生命」として新たなスタートを切られますが、貴社の強みはどんなところにありますか?

今井「われわれAXA(アクサ)グループは、全世界56カ国で事業を展開する金融業界のグローバルリーダーです。2008年の金融危機で経営破たんに追い込まれた生命保険グループもありましたが、そういったなかでも、安定した経営を続けられグローバル企業の一員だということで、お客さまにも安心して加入いただけるのではないかと思います。みなさん、ご存じないかもしれませんが、AXA(アクサ)というのは、どこの国でも同じ発音ができることから、つけられたものです。AXAのまん中の文字である『X』は未知数を意味します。企業全体が常にチャレンジしていこう、という願いがこめられて、こうした名前になっています」。

――そうしたグローバル企業の一員として、日本初のインターネット専業生命保険会社として事業を進められているわけですが、各誌で保険料ランキング1位に輝く保険料の安さ(参照表1)を実現していますね。その秘訣はどこにあるのですか?

【表1】定期保険月額保険料比較(10年定期・死亡保障額3,000万円)

※マイコミジャーナル調べ

今井「一番のポイントは、インターネット生保であることを最大限に活用して、徹底的にコスト削減を図ったことです。まずは商品を販売する営業マンをわれわれは持ちません。店舗もありません。スタッフも最低限に抑えています。こうやって業務を徹底的にオートメーション化することで、効率的な会社運営を実現。コストダウンした運営コストを保険料に還元しているわけです。また、ペーパレスにも力を入れています。われわれの商品は申込み手続がホームページ内でできるんです。紙のパンフレットや申込書の使用を極力抑えて、削減されたコストも、保険料に還元しています。実際、その努力があって、弊社の契約者のなかで保険料を節約できた約69%の方に聞いたところ、平均月7,650円を節約できたというお答えをいただいています」

――月々7,650円というと、1年間で9万1,800円。10年間だと91万8,000円もの節約になりますね。生命保険文化センターの調べでは、世帯年間払込保険料は、37.4万円といいますから、月々約3万円強です。ネクスティアに加入することでかなり削減できそうですね。

今井「実際に契約者の方々がどんな保障内容で加入されているかも、われわれ、調査していまして、ホームページ上でも公表しています(表2参照)。死亡保障のメインとなる『カチッと定期』の場合、契約者の約7割が男性です。実際に契約しているケースで多いのが、基本保障2,000万円、災害割増特約2,000万円、保険期間10年のプランです。この場合、30歳男性で保険料は3,120円です。基本保障額でみると、1,000万円~2,000万円に加入の方が全体の55.7%と半数以上を占めています。次いで2,100万円~3,000万円が18.3%、500万~900万円が15.7%と続きます。その結果、月額保険料は3,001円~8,000円が31.9%、3,000円以下が31.8%とほぼ同率。続いて8,001円~1万円が21.1%となっています」。

【表2】ネクスティア生命加入者の加入状況(「カチッと定期」の例)※

1.基本保障(主契約)保障額

2.災害割増特約保障額(付加率 56.90%)

3.保険料月額

※2009年3月13日~2009年4月30日のネクスティア生命の新契約をもとに算出しています。

――先ほど、営業マンはいないとおっしゃっていましたが、みなさん、どうやって、自分の保障額を決めて、ネクスティアの保険に加入しているのでしょうか?

今井「年代やライフステージによって、自ずと必要な死亡保障額は変わってきますよね。そういったことが、自分で納得して理解できるように、サイトのなかに様々な学習コンテンツや試算ツールを配置しています。『カチッと定期』など各商品紹介のページには、必ず、必要保障額シミュレーションというツールを置いてあります。ですから、加入を検討してらっしゃる方は、申込みをする前にまず必要保障額を計算できるような仕組みになっています。シミュレーションといっても、いたって簡単なツールで、選択式の質問に答えていくと、自動的に必要保障額が計算され、なぜその金額かの解説もされます。そのうえで、当社のどんな保険に加入したらよいかが、保険料も同時に掲載される形でいくつか紹介されるのです」。

――私も実際にやってみましたが、とても簡単なのでびっくりしました。保険についていろいろとむずかしく考えがちですが、ネクスティアの試算ツールで検索してみると、シンプルに考えればいいことがわかり参考になりました。

今井「そうなんです。シンプルに考えると、自然と自分に必要な保険がわかりますし、加入時に納得感を持って選択していただけるんですよ。われわれは、『みなさまへのお約束』として3つのポリシーを持っています。ひとつが、保険商品からわずらわしさを取り除き、わかりやすさを加えます。もうひとつが、保険料から無駄を取り除き、納得を加えます。三つめが、サービスからとまどいを取り除き、笑顔を加えます。です。このお約束に沿って、これからも商品開発とサービスを進めていく所存です」

――今日はありがとうございました。