iPadの登場が、ネットブック、そしてAppleの他の製品の市場を侵食しているのではないか、ということが話題になっている。こうした共食い現象についてはアナリストらがたびたび指摘し、それをAppleが否定する状況が続いているが、実際に4月の販売データが出揃ったことで真実味が増してきている。

AppleInsiderによれば、米Morgan StanleyのアナリストKaty Huberty氏が発表したMarch 2010 Alphawiseのアンケート調査結果で、iPad購入ユーザーが代わりにどういった製品の購入を見送ったかの分布が確認できる。

それによれば、44%がノートPCを見送ったと回答しており、そのうちの24%がApple製品(つまりMacBook)だ。他に多い順に並べていくと、iPod touchが41%、電子ブックリーダーが28%、デスクトップPCが27%(そのうちApple製品は14%)、携帯ゲーム機が17%となる。このデータで見る限り、AppleにとってiPod touchの市場が最も影響を受けていることになる。そして次がMacBookの市場だ。実際の結果はAppleの会計年度で2010年度第3四半期(4-6月期)決算発表を待たなければならないが、iPadの躍進が既存の製品ラインに及ぼす影響は少なくないものとみられる。

Huberty氏によれば、iPadはすでに携帯型PC、特にネットブックや小型PC、低価格PCといわれる市場に大きな影響を及ぼしており、2010年に入ってから減速しつつあったこれら製品に売上がiPad登場でさらなる脅威にさらされている可能性を指摘している。

同氏は小売り市場をレポートするNPDのデータを引用してネットブック市場の推移を紹介しており、例えば過去1年だけで2009年夏ごろのピークを境にネットブック市場の伸びは急減し、年末のクリスマスシーズン、そして年明けの1月には一気に下落。さらにiPadが登場した4月には5%とほぼ販売面で前年比フラットな状態まで落ち込んでいる。これがiPad登場とどの程度相関関係があるのか分からないが、少なくともネットブック自体の需要は一巡しつつあることがうかがえる。実際、Intel決算でもAtomプロセッサの出荷が下落していることが同社の決算報告で話題となっており、Atom+Windowsのネットブックは需要が収束しつつあるのではないかと考えられている。