外国為替証拠金取引(FX)サービスを提供する各社の間で、iPhoneアプリを提供する動きが拡大している。サイバーエージェントFX、フォレックス・トレード、シンプレス・テクノロジーがすでに提供を開始しており、今月以降も2社が提供を予定。今後もこうした動きが拡大することが予想される。
「タッチパネルのユーザーインタフェース」生かす
サイバーエージェントFXは2009年11月、同社のFX取引「外貨ex」用トレードツール『Cymo(サイモ)』において、iPhone/iPod touch版の提供を開始。「Cymo」は、デイトレーダーや中上級トレーダーが満足できるクオリティを目指して開発されたFXトレードアプリケーション。プライスボード/チャート/ポジション照会/口座状況紹介/ニュース/履歴といった画面から構成されており、「モバイルという制限されたデバイス上でも直感的かつ最小限のアクションで、トレードに必要な操作が行えるように設計している」(サイバーエージェントFX)。
iPhone/iPod touch版では、スクロールや表示変更をフリックで行うなど、「タッチパネルのユーザーインタフェースを生かし、快適性をさらに高めたアプリになっている」(同社)。利用料金は無料で、対応機種は、iPoneOS 3.0以降を搭載したiPhone 3G/iPhone 3GS、iPod touchとなっている。
「新規ダウンロード総数が3万件突破」したアプリも
フォレックス・トレードでは、iPhone専用FXアプリケーション『iPalmo(アイパルモ)』について、2009年9月7日からサービスを開始。主要通貨ペア(14通貨ペア)のリアルタイムレート配信や、テクニカル分析機能付チャート、ロイターニュースのダイジェスト配信、経済カレンダー配信などのサービスを提供。フォレックス・トレードに口座を持っている場合は、PCと同等のFX取引が可能となっている。
2010年1月30日には、テクニカル指標として「ボリンジャーバンド」「EMA」「一目均衡表」「スローストキャスティクス」と、「週足」「月足」「平均足」を追加した。2010年3月には、新規ダウンロード総数が3万件を突破した。
フォレックス・トレードでは、同アプリの人気の理由について、「口座を持たない人であっても自由にダウンロードし、リアルタイム配信レートの確認やテクニカル分析機能付チャートの操作が可能なところ」としている。
シンプレス・テクノロジーでも、為替レートをリアルタイムで表示するiPhoneアプリ「Simplex FX」を提供。Simplex FXは、FXユーザーと対象とした、為替レート/チャートおよび損益状況をリアルタイムで確認できるiPhoneアプリ。
水平表示時は、1種の通貨ペアを対象にしたチャートが表示される。BID/ASKを切り替えできるほか、チャートのサイクルを1分/5分/30分/1時間/1日/1週間/1月で変更できる。垂直表示時は、異なる通貨ペアまたは異なるサイクルで4種のチャートを同時に表示可能。「Portfolio」タブにポジションを登録しておけば、リアルタイムに損益状況を確認することもできる。
上記3社のサービスを総合してみると、FXでのiPhoneアプリ人気の理由は、タッチパネルなどのユーザーインタフェースを生かした「直感的な操作性」「快適な操作性」にあるといえそうだ。
今夏以降もiPhoneアプリ提供の動きが拡大傾向
iPhoneアプリを提供するこうした動きは、今年も続いている。クリック証券は4月26日、同社が開発を行ってきたiPhone版外国為替証拠金取引(FX)ツール『iClickFX』について、2010年5月をめどにAppStoreで公開できる見通しとなったと発表。「iClickFX」は、自社開発の取引ツールである利点を生かし、PC版FX取引ツール「はっちゅう君FX」で顧客に好評という「スピード注文」機能を搭載している。また、レートのリアルタイム表示や、「iPhoneならではのインタフェースを最大限に生かせるようレイアウトにもこだわっている」(クリック証券)という。
フィリップファイナンシャルスも今年3月、フィリップFXのモバイルトレーディングにおいて、iPhone専用トレードアプリ『iActTrader』を、2010年初夏をめどに提供開始すると発表。「iPhoneの大きな画面なら、取引レートやテクニカルチャート、さらには保有ポジション、注文の把握に便利」としている。また、タッチパネルでの操作のため、「注文やページの切り替え、スクロールなどスムーズな操作を実現する」としている。