米国でiPadが発売されておよそ1カ月が経過したが、当初の熱気から一段落して、App StoreにおけるiPadアプリの現状はどうなっているのだろうか? 同ストアにアプリをリリースしている開発者らがその状況をレポートしている。

同件に関しては、Apple Insiderがまとめた記事が面白い。それによれば、iPhoneアプリを開発しているHeadlight SoftwareのMichael Buford氏は自身のBlogでApp StoreにおけるiPhoneアプリとiPadアプリの現状について考察を行っており、App StoreでのiPad効果の一端を知ることができる。

Headlight Softwareは、iPhoneアプリ「Knife Dancing」と、iPadアプリ「Heads Up: Hold'em HD」をリリースしており、それぞれがApp Storeの「無料ゲーム」カテゴリでトップの座を獲得したことを報告している。Knife Dancingがダウンロード数でピークだったのが2010年2月14日で、このときの1日あたりのダウンロード数が165,000だったという。一方で、Heads Up: Hold'em HDのピークは4月30日であり、このときのダウンロード数は8,800だったという。以後、このiPadアプリの数は日ごとに減少し、2日後には約半分の3,700にまで落ちている。これが比較的人気のあるiPadアプリの一般的な販売推移だ。

Buford氏はこの経験にならえば、現状のiPadのアプリ市場の規模はiPhoneの約5%程度であると分析している。同氏はiPad Wi-Fi + 3Gのリリース前後でiPadアプリのダウンロード数が変化する可能性があるとして、数日間にわたってダウンロード数推移を観察していたが、29日に8,300だったHeads Up: Hold'em HDのダウンロード数は、30日のiPad Wi-Fi + 3G発売とともに8,800へと上昇し、前述のようにすぐに下落している。Buford氏自身も「たった2つの無料ゲームでの例」と前置きしているものの、App Storeにおける現状のiPadのシェアを示しているといえるだろう。

興味深いのは課金の部分で、Knife DancingとHeads Up: Hold'em HDはともに無料アプリとしてリリースされているが、アプリ内課金を利用して有料版へのアップグレードが可能になっている。Knife Dancingのアップグレード価格が0.99ドルなのに対し、Heads Up: Hold'em HDは4.99ドルと若干高価だ。しかしそれにも関わらず、Heads Up: Hold'em HDで有料アップグレードを選択するユーザーの割合はKnife Dancingの10%ほどと、ダウンロード数との比較に比べて高い。

現在のところ、iPadアプリに対してより多くのお金をユーザーが払うことに抵抗はなく、プラットフォームの拡大でより大きなビジネスチャンスになる可能性も秘めているといえる。