数々のTVアニメやゲーム主題歌でおなじみのアーティスト・霜月はるか。ボーカリストとして活躍するかたわら、自らのファンタジックな世界観を構築し、幅広いファンを魅了する。そんな彼女のボーカルワークスを集めたベストアルバムの第3弾となる「導きのハーモニー」が2010年4月14日に発売された。そこで今回は、収録楽曲を中心に、本作の魅力について、霜月自身が語ったメッセージを紹介しよう。

霜月はるかが語るワークスアルバム第3弾「導きのハーモニー」

――霜月さんのワークスアルバム第3弾となる「導きのハーモニー」が4月14日に発売されましたが、現在の心境はいかがですか?

霜月はるか

「アルバムをボーカリストとして出せるということは、私にとっては足跡を残すのと同じ感覚なんですね。そのときどきの自分の気持ちや自分の状況、自分の表現が作品として残っていく。それを一枚のアルバムにまとめて出せるというのは、まさに写真のアルバムを作る感覚に近いかもしれません。今回のアルバムはベストアルバムというカタチですが、そのときどきの自分の表現が詰まっていて、自分にとって懐かしく思う部分もあれば、今現在の自分というものも当然そこに収録されているわけですよ。なので、私が今、5年前に出した『あしあとリズム』というアルバムを振りかえって感じるのと同じような気持ちを、時が経ったときにあらためて感じることができるのではないかと思っています。そういう意味で、こういったベストアルバムを出すたびに、自分自身の足跡が増えていく感覚がありまして、自分の活動を振り返ったり、自分の音楽の方向性をあらためて実感するタイミングになったりもしますね」

――今回のアルバムの選曲はどのようなポイントに重点を置いていますか?

「今回のアルバムを作るに当たり、候補曲はすごくたくさんあったのですが、今の自分をアルバムとして残すのであれば、ここ数年は、やはりボーカリストとしていろいろな楽曲にチャレンジさせていただくことが多かったので、そういった自分のボーカリストとしての幅広いカラーをできるだけ詰め込もうと思いました。なので、バラエティに富んだ選曲になっていると思います」

――そのときどきのカギになるような楽曲をピックアップしている感じですか?

「そうですね。自分にとっては、普段のカラーではない楽曲を意識的に選んだりもしています。こういうカラーのものも私は歌っていますよということを、自分の足跡として残しておきたかったというところもありますね。なので、皆さんが聴き慣れたものとは違った曲調の曲を意識的に取り入れることで、ボーカリストとしての表現の幅を感じていただけるような選曲になっていると思います。時期的にもけっこうバラバラですし、PCゲームの曲だったり、コンシューマーゲームの曲だったり、本当にバラエティに富んだものになっています」

――ワークスアルバムは今回で3枚目ですが、枚数を重ねるごとに収録されている曲数が増えていますよね

「あまり意識はしていなかったのですが、選曲するに当たって候補曲がすごく多かったんですよ。それこそ、最初は2枚組にしようかなと思うぐらいで(笑)。でも2枚組にするには少ない気もするし、でも1枚にまとめるのはちょっと大変で……。そうやって悩んだ結果が、今回の15曲になっています」

――となると、次回は2枚組ですね

「ありがたいことにいろいろな曲を歌わせていただいているので、収録したい曲はまだまだたくさんあるんですよ。次の機会には必ず入れたいなという曲もたくさんありますし。そのあたりはやはりタイミングですね」

――ワークスアルバムは基本的にはタイアップ曲中心の構成ですよね

「タイアップ曲がほとんどになりますね。ただ、タイアップ以外にも毎回一曲、書き下ろして入れようと自分の中で決めていて、『あしあとリズム』『音のコンパス』、そして今回の『導きのハーモニー』と、タイトルチューンを毎回書き下ろすことにしています。この書き下ろした曲は、その時点での自分の音楽に対する気持ちを素直に出す曲にしようと意識していて、今回の『導きのハーモニー』も、今の私が音楽活動に対して抱いている気持ちをテーマにした楽曲になっています」

――収録曲を見ると、枚数を重ねるごとに、霜月さん自身が作詞や作曲をしている曲の割合が少なくなってきていますが、これはやはり、バラエティ感やボーカリストとしての一面を前に出した結果といえるのでしょうか?

「ワークスアルバム以外に出している2枚のアルバムは、完全に私のクリエーターとしてのカラーが良く出ているファンタジーな作品になっているのですが、そういった私自身が持っているカラーと、他の方とコラボレートすることでボーカリストとして表現の幅が広がっている部分というのが、もちろん完全に分かれているわけではないのですが、かなり明確になってきていると思うんですよ。自分の中でも、作り手としてファンタジーの世界を作る自分と、ボーカリストとしていろいろな世界観を表現する自分が、それぞれ別に歩いている感じがしています。最初に出した『あしあとリズム』のころは、まだそのあたりが自分の中ではっきりしていなくて、同人として曲を作っていた活動と、実際のお仕事として歌っている自分が、まだごちゃごちゃしている状態だったんですよ。そのあたりが明確になり、作り手としての自分とボーカリストとしての自分というものがそれぞれ見えてきたがゆえに、こういった選曲になっているのだと思います」

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