吉浦康裕監督

3月6日に公開をスタートした『イヴの時間 劇場版』。そのロングランヒットを記念したイベント「『イヴの時間 劇場版』ロングラン・ヒット記念! GW・満喫トークショー!」が4月29日、池袋テアトルダイヤにて開催され、吉浦康裕監督が登場した。

上映終了後、満員の観客が待ちわびる中、吉浦監督が登場。「夜遅くまでありがとうございます。先日30歳になった吉浦です。いきなりウォーキングを始めました(笑)」という挨拶からトークショーはスタートした。なお、吉浦監督の誕生日は大阪のテアトル梅田での初日舞台挨拶が行われた4月3日で、当日はシークレットで花束を贈られたとのこと。「何かあると思って、前日の夜からそわそわしていました(笑)」(吉浦監督)。

ゴールデンウィークに突入と言うことで、トークはまず「GWの過ごし方」について。ここ数年はずっと「イヴの時間」の制作に費やしたという吉浦監督だが、久しぶりの連休となる今年のGWは、いろいろなことをやってみたいと話す。「仕事をしつつなんですけど」と、今年もゆっくりとは休めなさそうな様子だったが、2日連続で休むと落ち着かず、思わずスタジオに行ってしまうぐらい、「どうも自分はゆったり休めない性質」と語る。

「イヴの時間」の話題では、思い入れのあるキャラクターについて、「監督なら、すべてのキャラですって言うのがカッコいいと思うのですが……」と前置きしつつも、「僕はナギが大好きなんです」と即答。『イヴの時間』の登場人物は、自己投影をしているキャラと知人をモデルにしているキャラで構成されているとのことだが、ナギについては、「僕の願望を投影したキャラクターなんですよ」と少し照れ笑いを浮かべる。キャラクターデザインの茶山氏が最初、お店のマスターならこんな感じといってデザインしたエプロンに対し、「もっと管理人さんみたいな、家庭用のエプロンにしてほしい」とのリクエストを出したという思わぬエピソードも語られた。

現在、フジテレビ"ノイタミナ"で放送中の『四畳半神話大系』がおススメと語る吉浦監督。クリエイター陣のファンでもあるが、「ファン根性を抜きにしてもすごく面白い」と絶賛していた

トークショーの途中、マサキ役の野島健児とナギ役の佐藤利奈がビデオメッセージで登場。野島から回転寿司屋の前で吉浦監督と偶然に出会ったというエピソードが語られた

なお、吉浦監督が自己投影しているキャラクターはリクオとサミィで、リクオについては、「あらゆるところがといえるぐらい自分っぽい。ちょっと人当たりがいいんだけど、内弁慶で、すぐカッとなってイライラして、サミィに怒鳴っちゃうけど、あとで後悔するような、自分のダメなところも露骨に出している感じです」と話す。ただし、「ピアノは弾けないですけどね」と付け加え、会場の笑いを誘う。なお、「イヴの時間」の常連客はすべて監督が高校時代に所属した演劇部のメンバーがモデルになっているとのことで、マサキについては、「自分がこうありたいという像でもある」と語った。

トークショーの途中、マサキ役の野島健児とナギ役の佐藤利奈からのビデオメッセージが公開され、「イヴレンドを飲むように、コーヒーを楽しむように、じっくりと味わい深い作品を楽しんください」(野島)、「何回観ても泣けてしまう作品なので、皆さんも存分に泣いて、そしてほっこりした気持ちになっていただけたら」(佐藤)というメッセージが送られた。

また、名古屋、福岡、そして仙台での公開が決まったことや、Blu-ray&DVDが7月28日に発売されることが発表されると会場からは大きな拍手が巻き起こる。Blu-ray版の初回出荷分に同梱されるブックレットには、吉浦監督描き下ろしの小説が掲載されるが、その内容は、「イヴの時間」に残されている謎の部分にある程度の回答を与える「いわばact.0.5」(吉浦監督)とのことなので、こちらも楽しみにしておきたい。

さて、気になる『イブの時間』の続編については、「すぐ次と言うわけにはいかないかもしれないのですが、構想はありますし、機会をいただければ、絶対にいつかはやりたいと思います」と力強く宣言。最後には、「『イヴの時間』とはちがう方向性の作品も作っていきますので、今後も吉浦の作品に会うことがありましたら、ぜひ観てやってください」というメッセージとともに、およそ30分のトークショーは幕を閉じた。

イベントということもあったが、『イヴの時間 劇場版』を3回以上も観たという人が会場の1/3強を占め、吉浦監督も驚きの表情を見せる

イベントでは監督やキャスト陣のサイン入りパンフレットや今や幻の"イヴレンド缶"など、「イヴの時間」グッズが当たるプレゼント抽選会も行われた

『イヴの時間 劇場版』は、池袋テアトルダイヤにて公開中。5月15日(土)からは伏見ミリオン座、5月29日(土)からはシネ・リーブル博多駅、6月12日(土)からはフォーラム仙台にて、それぞれ公開開始となる。配給はアスミック・エース。

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