累計100万部を突破するなど高い人気を誇る野村美月氏の"文学少女"シリーズを原作とする『劇場版"文学少女"』。その公開初日となる5月1日、東京・池袋のシネ・リーブル池袋にて、初日舞台挨拶が行われた。
当日壇上には、多田俊介監督をはじめ、天野遠子役の花澤香菜、井上心葉役の入野自由、そして朝倉美羽役の平野綾が登場。平野は、事前告知のないサプライズゲストであったため、客席からは驚きとともに大きな歓声で迎えられた。
大人気ライトノベルの映画化ということで、制作にあたり、「率直に言って、その"大人気”ということをかなり意識しました」という多田監督は、それが大きなプレッシャーになっていたと打ち明ける。およそ1年半のという制作期間を経ての公開初日ということで、「内容も波乱万丈ですが、現場もかなり波乱万丈で(笑)、いろいろなことを乗り越えてここまで来たと言う意味では、フィルムもまさにそういうものになっていると思うので、そのあたりを注目していただければ」との感想を述べた。
原作を読んで、何が何でもオーディションに受かりたいと思ったという花澤は、「原作もかなり読み込んで、原作に出てくる本も読んで、あと何かやっていないことはと思ったら、『紙を食べていない!』」ということで、オーディション直前に、作中の遠子よろしく、実際に紙を食べてみたという衝撃の告白。ちなみに食べた感想は「しょっぱかった~」とのことで、「紙を食べることはおススメしません(笑)」(花澤)。
「最初に"文学少女"というタイトルと、表紙を見たときは、ファンタジーで心温まるお話なんだろうなと思った」という入野。しかし、読み解いていくうちに、「どんどんとハラハラしていって、こんなにドロドロとするんだと思い、最後までたどり着けるかな」と不安に感じたということだが、「最終的には、自分が思い描いていたとおりのファンタジーというか、綺麗な形で終わるものだった」と笑顔を見せ、実際に演じるときは「最初のイメージと、ドキドキハラハラの部分を自分の中に持ちつつ演じました」とのエピソードを披露した。
「こういうのをヤンデレと言うのですか?」という平野。朝倉美羽は、これまでに演じたことのないジャンルの役だったため、すごくチャレンジしてみたい役どころだったという。オーディションは最初、遠子役で受けたということだったが、「私はやっぱり美羽だなと演じていて自分でも納得してしまう部分があった」と語り、「一概に共感できますとは言い難いのですが」と前置きしつつも、「これだけのめり込める役というのもあまりないので、だんだん美羽の考えが理解できる状態にまで持っていくことができて、これまでに自分が演じた役柄の中でも、特に印象に残る役になりました」と、美羽役を演じた感想を語った。
続いては、出演者が語った、作品の観どころとメッセージを紹介しよう。
花澤香菜「これから観るんですもんね? めちゃめちゃ良いよ(笑)。遠子先輩という役は、私にとってすごく挑戦となった役でした。遠子先輩は、心葉君やほかのみんなを包み込んであげなきゃいけない、ある種、神のような存在じゃないですか。なので、皆さんの中の遠子さん像に当てはめられるかというのがものすごく不安だったのですが、いや~、頑張ったよって自分で自分を励まします(笑)。頑張りました。ぜひぜひご覧ください」
入野自由「観どころはたくさんありますが、僕が"文学少女"で好きなところは、心穏やかになるような、優しくなるようなストーリーなので、今回もやはりそこが観どころになると思います。心葉の心温まる言葉、優しい一面を、皆さんにも感じていただければいいなと思います。ぜひぜひ楽しんでください。よろしくお願いします」
平野綾「心温まるお話なのですが、私は皆さんにどんどん傷をつけていく役どころなので、まずは観て、傷ついてください(笑)。心葉と同じように、『え、何で? そんなことを言うの?』とか『そんなことをするの?』とか、思う存分に傷ついてほしいと思います。美羽を演じるにあたっては、ただ怖いとか、そういうのだけではない、怖いというよりは、『何なんだろうこの子?』みたいな違和感のようなものを与えることに重点を置いて演じてみたので、そういうところも感じてほしいですね。あとは『遠子先輩、萌え~』って感じです(笑)。私はかなり遠子先輩に助けられたなと、美羽の感覚で思ってしまうのですが、すごくいい先輩なので、みなさんも癒されてください。それぞれの役者さんたちがすばらしいお芝居をしていますので、ぜひ堪能してください」
多田監督「観どころは全部ですが、まずは冒頭に注目ですね。キャストの皆さんが中身をすごく良くしてくれているので、そこもぜひ注目してください。花澤さんが最初に紙を食べたというエピソードは、僕も聞いていたのですが、ご一緒するのが初めてだったので、ちょっと可哀相な子なのかなと思っていました(笑)。入野さんはほかの番組でもご一緒していたりしたんですけど、平野さんは、僕自身がいろいろな番組で観ていて、美羽をどうやって演じてもらえるのだろうとドキドキしていたのですが、本当に見ていてすばらしかったので、そこは皆さんも一緒になって楽しんでもらえると思います」
最後は、"文学少女"のイベントではおなじみの、花澤と客席による「私が"文学少女"だ!」の掛け合いで、『劇場版"文学少女"』の初日舞台挨拶は無事終了。『劇場版"文学少女"』は本日5月1日より、シネ・リーブル池袋ほかにて全国順次ロードショーとなるが、DVDとしてリリースされる短編アニメとあわせての公開も予定されているので、そちらも注目しておきたい。上映館などの詳細は、公式サイトなどをチェックしてほしい。
天野遠子という大役を演じるにあたり不安でいっぱいだった花澤を励ますためにマネージャが言った「香菜ちゃんが"文学少女"だ」という言葉がきっかけになったという「私は"文学少女"だ!」。「皆さんも私を元気付けてください」(花澤) |
■『劇場版"文学少女"』おもなスタッフ
原作 / 野村美月「"文学少女"シリーズ」(エンターブレイン ファミ通文庫刊)◆原作イラスト / 竹岡美穂◆監督 / 多田俊介◆構成・脚本 / 山田由香◆キャラクターデザイン / 松本圭太◆音楽 / 伊藤真澄◆アニメーション制作 / Production I.G◆製作"文学少女"製作委員会
■『劇場版"文学少女"』おもなキャスト
天野遠子 / 花澤香菜◆井上心葉 / 入野自由◆琴吹ななせ / 水樹奈々◆櫻井流人 / 宮野真守◆芥川一詩 / 小野大輔◆姫倉麻貴 / 伊藤静◆竹田千愛 / 豊崎愛生◆森ちゃん / 下田麻美◆朝倉美羽 / 平野綾
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