既報のように、米AMDは6コアCPUの「Phenom II X6」と対応する「890FX」「880G」「870」チップセットを発表。あわせてマザーボードのベンダー各社からは、新チップセットを搭載する製品が一斉に発表された。

AMDの8シリーズ・チップセットとしては、すでに統合グラフィックス型の「890GX」が登場していた。今回発表の3モデルによって、ラインナップはディスクリートが2種類、統合グラフィックスが2種類の計4モデルとなる。PCI Expressの構成など、以下のような違いがある。

■主な仕様の比較
チップセット 890FX 890GX(既発表) 880G 870
PCI Express x16/x16 or x8/x8/x8/x8 x16 or x8/x8 x16 x16
CrossFireX - -
内蔵GPU - Radeon HD 4290 Radeon HD 4250 -
製造プロセス 65nm 55nm 55nm 65nm
Max TDP 19.6W 25W 18W 12.5W

サウスブリッジには、ほとんどのマザーボードで「SB850」が採用されている。SATA 3.0を標準でサポートするが、USB 3.0には非対応のために、USB 3.0ポートを用意したマザーボードには、別途NEC製などのコントローラ・チップが搭載される。

ASUS

ASUSTeK Computerは、890FX+SB850を3種類、880G+SB850を3種類、870+SB850を2種類の計8種類のマザーボード新製品を投入する。

890FXチップセットを搭載する「Crosshair IV Formula」は、「R.O.G.」シリーズとなるゲーマー向けのハイエンドモデル。オーバークロック向けの機能として、専用チップ「TurboV EVO」や、ノートPCから設定変更できる「ROG Connect」機能などを搭載した。そのほかミドルレンジ向けに、「M4A89TD PRO/USB3」なども用意。

■主な仕様
製品名 Crosshair IV Formula M4A89TD PRO/USB3 M4A89TD PRO
ソケット Socket AM3
チップセット 890FX+SB850
PCI Express 4(x16/x16/x16/x4) 4(x16/x16/x4/x1)
PCI 2 2
USB 3.0 2 2 -
サイズ ATX ATX ATX
発売予定日 4月29日 4月末~5月上旬 4月29日
価格 31,000円前後 24,000円前後 22,000円前後

ハイエンドモデル「Crosshair IV Formula」

オーバークロック向けに特化したモデルだ

ミドルレンジ向けの「M4A89TD PRO/USB3」

USB 3.0以外はほぼ同仕様の「M4A89TD PRO」

880Gチップセットでは、以下の3モデルを投入する。グラフィックス出力端子はいずれもHDMI/DVI/VGA。GPU用オーバークロックツール「GPU Boost」が付属しており、グラフィックス性能を向上させることも可能だ。

■主な仕様
製品名 M4A88TD-V EVO/USB3 M4A88TD-M EVO/USB3 M4A88TD-M
ソケット Socket AM3
チップセット 880G+SB850
PCI Express 3(x16/x16/x1) 3(x16/x1/x1)
PCI 3 1
USB 3.0 2 2(拡張カード) -
画面出力端子 HDMI/DVI/VGA
サイズ ATX マイクロATX マイクロATX
発売予定日 4月29日 4月29日 4月29日
価格 15,000円前後 14,000円前後 11,500円前後

「M4A88TD-V EVO/USB3」

「M4A88TD-M EVO/USB3」

870チップセットの製品は以下の2モデル。エントリークラスの製品であるが、どちらもUSB 3.0には対応している。

■主な仕様
製品名 M4A87TD EVO M4A87TD/USB3
ソケット Socket AM3
チップセット 870+SB850
PCI Express 3(x16/x16/x1) 3(x16/x4/x1)
PCI 3 3
USB 3.0 2 2
サイズ ATX ATX
発売予定日 4月29日 4月29日
価格 13,000円前後 11,500円前後

「M4A87TD EVO」

「M4A87TD/USB3」

GIGABYTE

GIGABYTEは、890FXが2モデル、880Gが4モデル、870が1モデルの計7モデルを投入する。ほとんどのモデルでUSB 3.0をサポートするが、同社の特徴と言えるのは、バスパワーが3倍に強化されていること。消費電力が大きなデバイスを利用するときには便利だ。5月にかけて順次発売される。

フラグシップモデルとなる「GA-890FXA-UD7」は、XL-ATXという少し長めのフォームファクタを採用(ボードサイズは32.5×24.4cm)。搭載時にはちょっと注意が必要だが、PCI Express x16スロットが1つおきに4つ利用できるので、2スロット厚のハイエンドGPUによる4wayのCrossFireXに対応する。

■主な仕様
製品名 GA-890FXA-UD7 GA-890FXA-UD5
ソケット Socket AM3
チップセット 890FX+SB850
PCI Express 6(x16/x16/x16/x16/x16/x16) 6(x16/x16/x16/x16/x1/x1)
PCI 1 1
USB 3.0 2 2
サイズ XL-ATX ATX

フラグシップモデルの「GA-890FXA-UD7」

こちらは下位モデルの「GA-890FXA-UD5」

880Gチップセットを搭載するマザーボードは、以下の4モデルとなる。先行して発売されるのは「GA-880GM-USB3」と「GA-880GM-UD2H」の2種類だが、こちらのサウスブリッジはSB710であり、SATA 3.0には非対応なので注意。

■主な仕様
製品名 GA-880GA-UD3H GA-880GMA-UD2H GA-880GM-USB3 GA-880GM-UD2H
ソケット Socket AM3
チップセット 880G+SB850 880G+SB710
PCI Express 4(x16/x16/x1/x1) 3(x16/x16/x1) 2(x16/x1)
PCI 3 1 2
USB 3.0 2 2 2 -
画面出力端子 HDMI/DVI/VGA
サイズ ATX マイクロATX
発売予定日 - - 4月27日 4月27日
価格 - - 14,000円前後 13,000円前後

「GA-880GA-UD3H」

「GA-880GMA-UD2H」

「GA-880GM-USB3」

「GA-880GM-UD2H」

870チップセットは「GA-870A-UD3」の1モデルのみ。このモデルも、同社の品質規格「Ultra Durable 3」に準拠したものになっている。

■主な仕様
製品名 GA-870A-UD3
ソケット Socket AM3
チップセット 870+SB850
PCI Express 4(x16/x16/x1/x1)
PCI 3
USB 3.0 2
サイズ ATX

「GA-870A-UD3」

MSI

MSIは、890FX/880G/870チップセットで各1モデルずつ。長寿命の「Hi-c CAP」など高品質パーツを採用した「ミリタリークラス」に対応、自動オーバークロックの「OC Genie」チップや、省電力な「APS(アクティブフェーズスイッチング)」電源などを搭載する。

ハイエンドモデルの「890FXA-GD70」は、高性能電源チップ「DrMOS(ドクターモス)」を搭載。拡張スロットはPCI Express x16スロットを5つ備えており、4wayのCrossFireXにも対応する。そのほか、880Gチップセットは「880GMA-E45」、870チップセットは「870A-G54」。870A-G54は最近では珍しいシリアルポート搭載モデルとなる。

■主な仕様
製品名 890FXA-GD70 880GMA-E45 870A-G54
ソケット Socket AM3
チップセット 890FX+SB850 880G+SB850 870+SB850
PCI Express 6(x16/x16/x16/x16/x16/x1) 3(x16/x1/x1) 3(x16/x16/x1)
PCI 1 1 3
USB 3.0 2 2 2
画面出力端子 - HDMI/DVI/VGA -
サイズ ATX マイクロATX ATX
発売予定日 4月27日
価格 23,980円前後 11,980円前後 11,980円前後

ハイエンドモデルの「890FXA-GD70」

4wayのCrossFireXにも対応する

「880GMA-E45」

「870A-G54」