2010年も無事に春が到来。世間が花見に浮かれる頃、筆者は別のことに浮かれていた。そう、『ゴッド・オブ・ウォー (GOD OF WAR) III』(GOW3)の発売である。今回のレビューは欧米PS3ユーザー向けとしては最大のキラーソフトである本作を取り上げることとする。
※本作品は18才以上の方のみを対象としています。18才未満の方は購入できませんので、あらかじめご了承ください。
祝! 『GOW3』発売。そしてありがとう、『GOW1』『GOW2』のPS3移植
今作、PS3版の『ゴッド・オブ・ウォー III』が、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から発売となると聞いて、正直、心配だった。過去作の『ゴッド・オブ・ウォー』(GOW1)、『ゴッド・オブ・ウォー II 終焉への序曲』(GOW2)、そしてPSP版の外伝となる『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』までは、すべてカプコンから発売されてきたが、今作だけはSCE純正作品として発売されたのだ。
心配だった理由。「バイオハザード」を有するカプコンはバイオレンス表現にはある程度寛容だが、SCEはそのあたりに厳しいと思ったし、なによりSCEは「日本のユーザーのため!」という配慮を効かせてキャラクターの造形を変えてしまうことすらあるからだ。最も有名なエピソードとしては、「ラチェット&クランク」シリーズの主人公ラチェットのデザイン。海外版とは違い、日本版のラチェットは眉の毛髪量が半端じゃなく多くなっているのだ。
どうしよう。もしもクレイトスが、「ファイ○ルファンタ○ー」の美形青年みたいなサラサラヘアを生やしていたら……! クレイトスには無精髭は元々生えているけど、ニット帽なんかをかぶらせられたりしたら!? 考えられない! いや、それどころか、リアル志向に行きすぎてAGA治療の効果が現れたばかりみたいな、もやっとした薄毛をハゲ散らかしたみたいな髪型だったりするかもしれない! ああ……そうなったら、オレ、もうクレイトスを愛せないかも。
どうか今まで通り、玄田哲章氏の野太い声の吹き替えが似合う、バイオレンス系スキンヘッドオヤジでいますように。2009年中、こう祈り続けていた甲斐あってか、クレイトスは欧米版そのままのイカツイ見栄えで我らが日本のPS3ユーザーの前にやってきてくれたのであった。ヤッホー! ありがとうSCE。
ちなみに、経緯については不明だが、今作『GOW3』の発売にあたっては、ハイビジョン/ワイドアスペクト対応となった『GOW1』と『GOW2』の両方をPS3へと移植したツインパックが『ゴッド・オブ・ウォー コレクション』としてカプコンから、『GOW3』の発売とほぼ同時期にリリースされている。一方、『GOW3』と、前出の『ゴッド・オブ・ウォー コレクション』に含まれるPS3版『GOW1』『GOW2』を1パックにした『ゴッド・オブ・ウォー トリロジー』はSCEから、こちらも『GOW3』と同じ時期にリリースされている。
同一シリーズの各パッケージが、タイトルによって販売企業が異なるという複雑な状況下とはいえ、なんとかPS3上にて歴代の「GOW」シリーズがすべて楽しめる状況となったのは、ゲームファンとして手放しで歓迎したいし、喜びたいと思う。パッとプレイして見た感じでは、欧米版と比較して大きく表現を和らげたところも見当たらないし、クレイトスの荒くれぶりは日本においても天井知らずとなってくれそうだ。イエイ!
ちなみに、PS2で『GOW1』『GOW2』を楽しんだ人は『GOW3』単体を購入すればよいし、通して「GOW」ワールドを楽しみたい人は『ゴッド・オブ・ウォー トリロジー』がいいだろう。最初に、最新作の『GOW3』をプレイして、「GOW」ワールドにハマった人は『GOW1』『GOW2』をまとめた『コレクションパック』を後日購入してプレイするのもいいだろう。ただし、いずれにせよ、『GOD OF WAR "ゼロ"』の呼び声も高いPSP版『GOW』はリメイクされていないので、そのままPSPでプレイする必要がある。
これから「GOW」ワールドに浸かりたいという人が、時系列で正しくプレイするためにはPSP版→『GOW1』『GOW2』『GOW3』の順でプレイするのがよいだろう。