Q:ところで前職のEZ-PCは大阪でしたっけ?
A:いや、名古屋と秋葉原にそれぞれ拠点があって、それぞれ従業員が居た。もう私はあの会社とは関係ないが、主なビジネスは秋葉原のパートナーとともに行われている。私は秋葉原を愛しているよ。前職のときは、毎週末秋葉原に通っていた。秋葉原や大阪の日本橋との関係をまた持ちたいと思っている。
もっとも、それをどうやって実現するかはこれから考えないといけないのだが。例えば、Freescaleコーナーを設けてロボット・キットを出すとか。私のチームに、日本のテクノロジーの魂(ソウル)である秋葉原コミュニティとどう関係を構築するかを考えるように、指示を出さないと。
以前は、CPUやマザーボード、グラフィックカードばかりを見ていた。今度は、秋葉原といっても違うところを見に行かないと。何らかの形で、秋葉原の繁栄に貢献していきたいと思っている。私の考えでは、秋葉原は日本におけるテクノロジーの中心というだけでなく世界におけるテクノロジーの中心だ(*6)。
私の心は常に秋葉原にある。あそこに行けば、全ての類のエレクトロニクスを、あの狭い地域の中で見つけることが出来る。そしてあそこには、優れた知識を持ち、技術を愛する人々が沢山居る。秋葉原は日本の中だけでなく、世界全体でみても、極めてユニークな場所だ。私はできるだけ秋葉原で時間を使いたいと考えているし、マーケティングチームにイベントを企画するように指示したいと思っている。秋葉原との関係を維持するためだけでなく、秋葉原がテクノロジーの分野における世界の首都であり続ける様に、プロモートしたいと思っている。
*6: 本当にこう言った。
Q:例えばSilicon ValleyのFry'sの周りには似たような人も居るような?
A:製品に着目すればそうかも知れないが、人々の雰囲気が全く違う。私は個人的に、秋葉原は日本旅行で訪れるべきNo.1の場所だと思っているよ。後は東京タワーと皇居だね。あ、もちろんこれは一般的な話だ。Freescaleにとって、という観点で言えば日本そのものがNo.1の場所ということになる。Freescaleの経営陣は日本を非常に重要視しており、重要なマーケットであると認識している。
Q:これに関連しますが、あなたの上司というのはどなたになるのでしょう? Rich Beyerに直接レポーティングするのか、それともHenri Richardにレポーティングするのでしょうか?
A:ラッキーな事に、Henriが私の上司になる。
Q:なるほど。では、逆にFreescaleに入ったことでの何か問題とかはありますか?
A:秋葉原までの距離がちょっと遠い事だな(笑)。
Q:それだけですか?
A:そう。素晴らしい社員、素晴らしい製品、素晴らしい顧客、素晴らしいパートナー。クリスマスプレゼントがやってきたよ(笑)。
Q:ちなみにいつFreescale Japanの社長の座を打診されたのでしょう?
A:つい最近のことだよ。
Q:そしてすぐ決断された?
A:決断は容易だったよ。
Q:なぜ容易だったかをお聞きしても宜しいですか?
A:もちろん素晴らしいエンジニアや製品ポートフォリオなどもあるが、そうした事と同じく重要なのは、ビジネスが無限に広がる可能性があること。これは日本の中で、という話だ。私にとっては、ビジネスが2倍、3倍、5倍、10倍と広がる可能性がある。市場は広いし、フリースケールの製品は広範囲のマーケットをターゲットとしている。私は売ることが大好き、(ビジネスで)勝つことが大好き。そして優れたチームと優れた製品がある。ビジネスを何倍にも拡げるチャンスがあるということだ。
この市場には100億ドル規模の競合がいる。これは、我々が成長する余地が十分にあるということで、非常にエキサイティングだよ。私は、米国本社の経営陣が考えるよりももっと大きなゴールを考えている。今後10年~20年で、日本をFreescaleにとって最大のマーケットにしたいというのが、私の個人的なゴールだ。