NECは4月19日、2010年夏商戦に向けた個人向けパソコンの新ラインナップ、6タイプ47モデルを発表した。また、VALUESTAR VN770をベースとした3Dディスプレイ搭載機種を参考出品。NECパーソナルプロダクツ 執行役員常務の高塚栄氏は、2010年度の上半期中に販売開始する意向を示した。

パソコン市場は好調に推移

NECパーソナルプロダクツ 執行役員常務 高塚栄氏

高塚氏は、最近のパソコン市場の動向について「コンシューマー市場は2009年下期から持ち直しつつあり、Netbookは失速したものの、全体では対前年比105%程度の実績になっている。企業向けについては、2009年前半は2割以上落ち込んでいたが、下期には学校のICT特需などがあり、持ち直している。特に第4Qは、中堅企業のパソコン買い替え需要があり、3月には商品が不足するほどになった。2010年上期もこの勢いは継続し、下期は回復基調になっていくのではないか」と述べ、Windows 7の発表以降、パソコン販売が好調に推移しているとの認識を示した。

夏モデルの3つのポイント

高塚氏は今回の夏モデルのポイントとして、「LaVie Sシリーズ」の投入、「ワイヤレスTV」、「Lui」の3点を挙げた。

「LaVie Sシリーズ」(右手前のピンクの機種のみLシリーズ)

LaVie Sシリーズは、薄くてスタイリッシュなノートがほしい、もう少しカラーバリエーションがほしいというユーザーの声に応えた15.6型ノートで、LaVie Lシリーズの下位モデルに位置付けられる。カラーも新色のエアリーブルーなど、4色がラインナップされたほか、厚みはLシリーズに比べ13%薄型化された。また、奥行きも18mm短くなるなど、スリム&コンパクトを実現している。

ワイヤレスTVは、地上デジタル/BS/110度CSのチューナーを搭載する無線LANの親機「ワイヤレスTVデジタル」から無線LAN経由で電波を受信し、PCでTV視聴を楽しむ機能。従来は、LaVie Lシリーズのみだったが、今回の夏モデルでは、13.3インチの「LaVie Mシリーズ」にもラインナップとして追加されている。

「ワイヤレスTVデジタル」

そのほか、TV関連では、不要な画面をスキップして録画番組を楽しめる「オートチャプタ機能」も用意。「聞こえる変速再生」機能では、再生スピートを変えても音声はしっかり聞き取れる1.2~2倍再生の「お急ぎモード」、0.5~0.9倍再生の「じっくりモード」も搭載された。また、録画番組を携帯電話で楽しめる「外でもVIDEO」機能は、従来の320×180ドット、毎秒15フレームに加え、640×320ドット、毎秒30フレームにも対応している。

Luiは、外出先から自宅にあるパソコンを操作できる機能。これまで、この機能を搭載していたのは、コンシューマー向けPCでは「LaVie Light」の1機種のみだったが、夏モデルでは、LaVie Light全機種に搭載されている。また、これまでLuiを利用するには専用サーバとなるハードウェアが必要で、使いたくでも使えないといったケースが多かったが、7月より提供される予定のサーバソフトをダウンロードすれば、Windows 7搭載のNECのパソコン(LaVie Lightを除く)であれば、サーバとして利用することが可能で、利用範囲が拡大する。

Luiリモートスクリーン機能

上期中に発売予定の3Dディスプレイ搭載ボードPC

夏モデルの発表会では、VALUESTAR VN770をベースに3Dディスプレイを搭載した機種が参考出品として展示された。今年度の上半期中、秋までには発売される見込みだ。高塚氏は「これまで3Dディスプレイは価格の問題があったが、これも解決しつつある。大型画面で視聴する場合は3Dテレビが中心だが、パソコンの能力を利用して過去の2D映像を3D化するなど、パソコンでの3D用途を提案し、3Dディスプレイ搭載機の市場を広げていきたい」と述べ、NECとしてこの市場に積極的に参入していく意向を示した。

参考出品された、3Dディスプレイ搭載の液晶一体型デスクトップVALUESTAR。3D方式は偏光方式