FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。欧米株式は、相変わらず強気基調で引けた。米企業の好決算への期待感に加え、4月の米NY連銀製造業景気指数が31.86、米フィラデルフィア連銀指数が20.2と共に市場予想を上回ると、米製造業を中心とした景気回復基調へのコンセンサスが更に強まり、景気敏感セクターである銀行株が指数上昇の牽引役となった。
また、この影響はいずれ雇用情勢へも波及するだろうという観測も相場の下支え要因として意識された。この株式上昇は商品市場での底堅い状況も生み出し、エネルギー関連株の買い優勢の展開へ。しかし、中国の急速な経済発展に伴う金融引き締めも同時に台頭したため、上値が重くなると、鉱山株では需要縮小観測も重なり軟調な地合いとなり、強気基調の中にも根強い高値警戒感を感じる値動きとなった。
一方、為替市場はやはり来たというべきか、ギリシャ問題の再燃によりリスク回避のユーロ売りが強まり、対円では125円後半、対ドルでは1.35前半まで下落。その後はポジション調整から買い戻す場面が見られたが、今後も予断を許さない状況を示唆するような展開となった。
本日の主要経済指標
・16:15 スイス・3月生産者・輸入価格
・18:00 ユーロ・3月消費者物価指数
・18:00 ユーロ・3月貿易収支
・21:30 米・3月住宅着工件数
・21:30 米・3月建設許可件数
・22:55 米・4月ミシガン大学消費者信頼感指数
要人発言
・22:00ウォルシュFRB理事の発言
・26:00ホーニグ:カンザスシティ連銀総裁の発言
欧米株式は堅調な値動きが継続する一方、為替市場ではクロス円を中心に再び円高基調強まっていることから、本日の東京市場は上値の重い展開となる可能性がある。
市場の焦点は、引き続き米企業決算とソブリン・リスクに集まっており、前者の米企業決算関連では、米市場引け後に注目の検索大手グーグル(GOOG.O)と半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)(AMD.N)の決算が発表された。
第1四半期の検索大手グーグル(GOOG.O)の決算内容は、売上高が67.7億ドル(予想49.5憶ドル前後)、1株利益は6.06ドル(予想6.60ドル)。
半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)(AMD.N)は、売上高15.7億ドル、1株利益は0.09ドル(予想-0.06ドル)という内容だった。
投資家は、グーグル(GOOG.O)の決算内容がもっと強い内容になると考えていたようで、時間外では下落基調となっていた。
今週の日本225種は、底堅い展開が継続するも利益確定売りによる上値の重たさも感じられる。そのような状況の中、グーグル(GOOG.O)の1株利益が市場予想を下回ったことから、ハイテク株で一度利食い先行となるかが注目される。
もうひとつの焦点であるソブリン・リスクは日々顔を変えて現れるが、今回はリスク回避の顔している。発端はドイツ国債とギリシャ国債の利回りスプレッドが再び最高水準レベルまで拡大したこと。一時は縮小傾向にあった債券市場だったが、単に緊急支援を口実にしたポジション調整だった可能性が高い。
また、中国の経済成長率も2007年の13%以来となる高い伸び率を示したことにより、かえって国内景気の過熱感を市場に想起させる結果ともなっている。これを抑制するための金融引き締め懸念から、本日の商品相場で上値が抑えられれば、株式や為替の資源系で売り圧力が強まることが考えられる。更に人民元の切り上げ観測も根強いため、本日の東京タイムは為替市場の動きを横目に見ながらリスクトレンドを見極めることが重要となろう。
その為替市場だが、ドル円が膠着状態にある現状、やはり鍵を握るのはクロス円、特にユーロ円と豪ドル円の動向と思われる。ギリシャ国債の利回り上昇により、ユーロ円は125円後半まで下落した。チャートの形状を見ると127円後半がレジスタンスゾーンとして意識されており、変則的なダブルトップとも見てとれる。このことから再び125円割れを目指せば、日本225種では週末要因も重なり、一度利益を確保してから、翌週以降ポジションを組み直す動きが強まることも考えられる。
また、豪ドル円やNAD円といった資源&高金利通貨では、上述した中国の引き締め観測がネックになるか。昨日の欧米の鉱山株は、この観測により下落基調を強めた経緯があるため、本日はアジアンタイムで同様の展開になるか注目したい。